IPを構成する3つのエッセンスと成功例【A-2 #2】

(左から、ちゅらっぷす株式会社 成沢氏、株式会社gumi 今泉氏、Happy Elements株式会社 松田氏、株式会社ミクシィ 多留氏)

2017年4月26日、東京・六本木にてスマートフォンゲームのマーケティングイベント「Next Marketing Summit 2017 Spring」が開催された。

「Next Marketing Summit」は今回が初めての開催だが、800人のマーケッターと業界関係者が一同に集う大規模なビジネスイベントとなった。当日開催されたセッションのうち、本稿ではA会場で行われたセッション「スマホゲームのIP化の最前線を語る!」3回シリーズ(その2)の様子を紹介する。

登壇者は、株式会社gumiの今泉潤氏、Happy Elements株式会社の松田晃佑氏、株式会社ミクシィの多留幸祐氏と、人気スマホゲームタイトルのキーパーソンが揃い、モデレーターはちゅらっぷす株式会社の成沢理恵氏が務めた。

(前回の記事は下記よりご覧ください)

【登壇者情報】
<スピーカー>
今泉 潤 – Jun Imaizumi
株式会社gumi プロデューサー
松田 晃佑 – Kosuke Matsuda
Happy Elements株式会社 マーケティングディレクター
多留 幸祐 – Kosuke Taru
株式会社ミクシィ XFLAG スタジオ モンスト事業本部 本部長

<モデレーター>
成沢 理恵 – Rie Narusawa
ちゅらっぷす株式会社 取締役

 

■IP化にデメリットはあるのか

成沢:既に『モンスト』は日本の代表的なIPになったと言えるかと思いますが、IPとして展開していく上で苦労している面はありますか。

多留:『モンスト』は今年で4周年になるんですけど、「『モンスト』とはこういうものだ」という型が出来てきたのは感じます。遊びとして、ユーザーの方々を飽きさせないために新しいことをしようとしても、チャレンジの幅が多少制限されるということはあります。「こういう遊びは、もう『モンスト』じゃない」となってしまうこともある。でも、変われなければ伸びないし、衰退してしまう。そういうせめぎ合いはあります。たとえば、極端に広いマップを作ってみたりして、色々試行錯誤はしているんですが、やはり悩むことはあります。

成沢:松田さんはどうですか。ゲームのタイトルがIP化して、ユーザーが愛着を持ってくれるようになった反面、次の展開に踏み切れなくなる、というようなことはありますか。

松田:ユーザー層の偏り方によっても、遊び方と戦略の幅が変わってくるのかなと思います。たとえば、『白猫プロジェクト』はアクションRPGですが『白猫テニス』はテニスのゲームです。遊び方はガラリと変わっているけど、元々アクションゲームを好む人が幅広くユーザーとしているからこそ、成功した展開ですよね。

うちのタイトルで言うと『あんさんぶるスターズ!』は女性ユーザーがほとんどなので、仮にゲームシステムを変えようと思っても、ゲーム性が高いものを望んでいるかというとそうでなかったりもするかと思います。でも色々な意見があるかと思うので女性が馴染みやすくユーザーが望んでいる展開に拡げていくのはとてもいいことかなと思います。

成沢:なるほど。女性向けゲームならではの悩みかもしれません。今泉さんはいかがでしょう。

今泉:ゲームの運営には大抵苦労してて辛い部分もあるんですけど、やっぱり人はいつか飽きてしまうんですよね。最近、ユーザーの意見を聞く場としてオフ会のようなリアルイベントをやろうという話を聞くんですけど、ああいうのは本当に理解に苦しむ。作り手側に、作りたいモノが無くなったことの表れなんじゃないかと。

成沢:お客さんに「何を作れば良いですか」と御用聞きするのはあり得ないと。

今泉:あり得ない。ユーザーの声を無視しろということではないですよ。ただ、自分のクリエイティビティの枯渇がゲームの終わりだというプレッシャーはすごく感じていて、自分のやりたい表現と、ビジネスの話と、ユーザーの要望にそれぞれ折り合いをつけていかなきゃいけないことが一番難しいですかね。

運営型のゲームは、コンシューマーゲームのナンバリングタイトルと違って、パッと仕切り直しということもできない。運営を続けながら、ユーザーを満足させつつ、あの手この手でスケールさせていかなくちゃいけない。そういう矛盾を抱えながら走ってるのに、現場の苦労を経営者にはなかなか理解してもらえなくて、それもまた苦労っていう……。

一同:(笑)

多留:人はいつか飽きるって仰ってましたけど、作り手側は飽きてる方が良いこともあります。運営って半年先を見てなくちゃいけないんですけど、僕たちが飽きたタイミングで、ユーザーの方々も半年後にここで飽きるんだなとわかるわけです。それが大事なんですよ。飽きてしまったところで、また関心を引き戻すための施策を早めに検討できるということが一番重要なんです。

こちらに来場されている方々の中には、ゲームの運営に携わっている方もいらっしゃると思いますが、「自社のゲームに飽きたなんて言えない」と思わずに、どんどんおっしゃっても良いのではないかと思います。飽きてしまったことに目を背けるんじゃなくて、「これは飽きてしまうんだ」「要するにつまらないんだ」という問題意識を共有して掘り下げていくことが本質的な議論になっていきます。これは結構キツいコミュニケーションです。ただ、運営していく上でそれをやらなければ立ち行かない。ヒットからも遠ざかるし、長く遊んでもらうこともできなくなります。

 

■IPのエッセンス

成沢:ここまで色々なお話しを伺ってきました。私としては、先ほど今泉さんが仰っていた、運営型のゲームではナンバリングタイトルが出しづらいという話がとても興味深いと思いました。『FF』のように、ナンバリングタイトルを継続してリリースするというやり方は、IP化において分かりやすく有効な手法です。

でも、今やスマホゲームのほとんどが運営型で、アップデートすれば、後からいくらでもゲームの内容を変更できてしまう。そのせいで、IPの2(ツー)、3(スリー)というナンバリングや続編というものの存在感が薄くなってきていると。それが、ソーシャルゲームではIP化が難しいと言われる理由のひとつなのかもしれません。

その中で『モンスト』や『白猫』がIPとして確固たる地位を築けたのは、そのIPをIPたらしめるファクターやエッセンスを上手く抽出できたからだと思います。ただ、その抽出方法はものすごく難しい。抽出するものを誤ると、ユーザーはすぐに離れてしまいますから。『FF』だって難しいですよ。私自身、『FF』を『FF』たらしめているものが何かは、すぐには答えることができません。これはぜひ、多留さんにお伺いしたいのですが、『モンスト』というIPを構成するもの、ファクターやエッセンスは一体何でしょうか。

この記事は会員限定記事です。

NEXT MARKETING会員ログイン

メールアドレスとパスワードを入力してください。

会員登録(無料)すると続きをご覧いただけます。

今すぐ登録(無料)

※Active Sonarにご登録いただいている方は、メディア会員の登録は不要です。ログイン後に、記事をお読みいただけます。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でフォローしよう!

NMS2017 SPRING イベント