(左から株式会社アカツキの立山氏、株式会社サイバーエージェントの齋藤氏、株式会社セガゲームスの吉田氏、株式会社ディー・エヌ・エーの佐藤氏、株式会社ネクソンの鈴木氏)
2017年4月26日、東京・六本木にてスマートフォンゲームのマーケティングイベント「Next Marketing Summit 2017 Spring」が開催された。
「Next Marketing Summit」は今回が初めての開催だが、800人のマーケッターと業界関係者が一同に集う大規模なビジネスイベントとなった。当日開催されたセッションのうち、本稿ではA会場で行われた「各社キーパーソンが考えるマーケティング戦略と未来」3回シリーズ(その2)の様子を紹介する。
登壇者は、株式会社サイバーエージェントの齋藤隼一氏、株式会社セガゲームスの吉田大氏、株式会社ディー・エヌ・エーの佐藤基氏、株式会社ネクソンの鈴木恵慈郎氏と、スマートフォンゲームのマーケティングを担うキーマン4名が揃い、モデレーターは株式会社アカツキの立山早氏が務めた。
(前回の記事は下記よりご覧ください)
【登壇者情報】
<スピーカー>
齋藤 隼一 – Junichi Saito
株式会社サイバーエージェント 宣伝本部 ゲームプロモーション室 室長
吉田 大 – Hiroshi Yoshida
株式会社セガゲームス DMS統括部 ソリューションビジネス2部 部長
佐藤 基 – Motoi Sato
株式会社ディー・エヌ・エー 宣伝部 シニアマーケティングプロデューサー
鈴木 恵慈郎 – Keijiro Suzuki
株式会社ネクソン モバイル事業本部 モバイルマーケティング室 室長
<モデレーター>
立山 早 – Saki Tateyama
株式会社アカツキ Global Growth Guild General Manager
■各社キーパーソンが今後挑戦したいこと
立山:次にお聞きしたいのは、皆さんが今注目しているマーケティング手法です。数年前はTVCM、今だとYouTuberの起用が注目されていて、「エンゲージメント」という言葉もバズワード化しています。様々な手法がある中で、皆さんが一番注目しているマーケ手法をぶっちゃけで教えて頂きたいと思います。じゃあ……吉田さんから。
吉田:また僕が最初かー(笑)。
一同:(笑)
吉田:手法というところから少し外れてしまうかもしれませんが、僕は「健全な広告投資活動」ということに本気で取り組みたいと思っています。
立山:具体的に言うと?
吉田:1impの価値を高めたいということです。これは今年やり遂げなくてはいけないことだと捉えています。日本国内ではクリックの10%以上がAd Fraud(botなどによって無効なインプレッションやクリックを行い、広告効果を不正に水増しする広告詐欺)、海外では15%以上だと言われています。我々マーケターが広告投資を健全にできないという事実に対して、広告主ができることは多くはないのかもしれませんが、ここにいる皆さんと一緒に改善していきたいと思っています。
もうひとつ、アドベリ(Ad Verification : 広告が、広告主の意図しない条件で表示されていないかを検証すること)という面では、デジタルの広告はダッシュボード画面を見て、効果の善し悪しを判断しがちですが、本当は露出すべきでなかったメディアに広告が表示されるということは、良質なメディアにお金が流れなくなるということでもあって、メディアは良いコンテンツを作るための資金を得られなくなってしまいます。
将来、僕たちが本当に出したいコンテンツがあっても、適切な投資先がないということもあり得る。つまり、健全な広告投資活動ができていないというのが現状なんですね。ですから、この取り組みはぜひ注力してやっていきたいと思っています。
立山:なるほど。不正な手法を防ぐ取り組みやツールに注目している、ということですね。続いて齋藤さんにお伺いしますが、サイバーエージェントさんは事業領域が広いので、シナジーを生み出せるような、幅広い視点からぜひ(笑)。
一同:(笑)
齋藤:弊社も既存タイトルが多くなってきたので、コンテンツへのファン作りやIP化は力をいれようと思っています。あとは、最近重要性を感じているのは、カスタマーサポートです。ユーザーと直にやり取りをする最前線なので、ファン作りという面では、顧客満足度を重視したマインドももっと必要になってくると思いますね。
立山:IP化というのもバズワードですよね。スマホゲームはプロダクトの寿命が2~3年だと言われてきましたが、最近はゲームが終わっても、世界観やキャラクターが生き続ければ、別のメディアやサービスに展開していけるという考え方も主流になってきました。今日、別のセッションでも登壇されているHappy Elementsさんの手法は特に上手だなと、私は思っているんですが、サイバーエージェントさんは具体的にどういう施策を考えていらっしゃるんでしょうか。
佐藤:めっちゃ気になりますね!(笑)
鈴木:はい、気になりますね(笑)。
会場:(笑)
齋藤:僕も教えてほしいくらいです。コンテンツに寄り添ってプロモーションをしていく、ということに尽きる気がしますね。コンテンツの成長、作品の世界観についてきてくれる人との歩調に合わせていかないと、なかなかIP化は難しいのではないかと思っています。
立山:ありがとうございます。DeNAさんも様々な展開をしていますが、佐藤さんはいかがでしょう?
佐藤:今注目している手法ですよね……。もしかしたら、「YouTuberがいい」とか「あのツールがいい」とか、直接的な言及を期待されているのかもしれませんが、もう今注目されるべき手法については、このNext Marketing Summitのセッションでほとんど網羅されていたのではと思います(笑)。
個別の手法ではないのですが、最近考えているのは、オリジナルのタイトルの中でも、最初からたくさんユーザーを集めることができたタイトルと、そうでないタイトルがあることです。例えば、最近でもCraft Eggさんの『バンドリ!ガールズバンドパーティ!』も最初からたくさんのユーザーを集めていましたし、立山さんの仰ったHappy Elementsさんの『あんさんぶるスターズ』も最初からすごく多くの人に愛されていますよね。
これはつまり、リリース前のマーケティング次第で、ユーザー数が10倍にも100倍にもなる可能性を示していると言えます。マーケターとして、いかにユーザーにとって魅力的なプロダクトにして、最適なタイミングでプロモーションを仕掛けていくのか。そういったマーケティング戦略が、モバイルゲームマーケターには求められる時代になっているのかな、と思います。
立山:本当そうですよね。リリース前の期待感をどう醸成出来るか。これはマーケとしてかなり重要な役割ですね。鈴木さんは何に注目されてますか?
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