みなさんは、インターネット界隈を恐怖のどん底に突き落とした“コーポレートサイト”があるのを、ご存知でしょうか? その会社の名前は、株式会社 闇。
ホラーとテクノロジーを掛け合わせた“ホラテク”を主題に、スマートフォンアプリやSNSを駆使したホラー体験をはじめ、最怖に恐ろしいウェブサイト制作、ホラーイベントのプロデュース等、ホラーに関するサービス・コンテンツ・プロダクトの企画・制作・開発を行う企業です。
最近では、『バイオハザード7 レジデント イービル』(Yahoo! JAPAN&カプコン)や『深夜廻』(日本一ソフトウェア)等、ゲーム会社からのプロモーションコンテンツも制作している同社。スマートフォンならではの恐怖体験を通して、SNSの拡散、人気YouTuberの実況動画でも取り上げられる等、同名ゲームのファンのみならず、多くの人々に製品を訴求しました。
“恐怖”という感情は、本来誰しも体験したくないもの。しかし、“怖いもの見たさ”という言葉があるように、ときに好奇心に駆られることも事実。一体なぜ、ホラーコンテンツがこれほどまでにプロモーションに寄与するのでしょうか。
「Active Media」では、株式会社 闇の代表取締役 頓花聖太郎氏に、ホラーコンテンツ×マーケティングという観点から、同社の実績や恐怖演出のテクニック等について、お話を伺ってきました。話を進めていくと、ホラーコンテンツ×スマートフォンとの相性に関する話題も。
まだまだ残暑が厳しいなか、本稿で肝を冷やしてみてはいかがですか?
「文脈のある恐怖を」…株式会社 闇の実態に迫る
株式会社 闇
代表取締役 頓花聖太郎 氏
――:「株式会社 闇」という社名通り、ホラーとテクノロジーを掛け合わせた“ホラテク”の会社とお伺いしていますが、設立のきっかけを教えてください。
頓花:もともと僕は、デジタルインスタレーション(空間演出)やWebコンテンツ制作などをやっている大阪の会社でアートディレクターを務めていました。その時はホラーとは全く関係のない、一般的なWebサイトなどを手掛けていたんですが、次第に「もっと世界観を作り込んでみたい」「何か新しいことをやってみたい」という思いが募っていったんですね。丁度その時、偶然にもホラーコンテンツの仕事が舞い込んできて、それがめちゃくちゃ楽しかったんです。もう「これだ!」と思って、当時の勤務先の社長にホラーコンテンツを主軸とした新規事業の企画を提案しました。
――:その企画が通って、会社設立となったのでしょうか。
頓花:それがそうでもなくて。社長はホラーが苦手だったんです(笑)。「ホラーは好きじゃないし、ちょっとわからんなぁ」って言われました。
――:ホラーが苦手という人はやっぱり多いですからね。
頓花:技術的には、デジタルインスタレーションとホラーは親和性が高いんですけど、コンテンツや体験としての質はどうなるか未知数でした。要は、面白さの証明が必要だったんです。
――:デジタルインスタレーションをホラーに活用した事例はほとんどありませんから、慎重になるのもわかる気がします。
頓花:「それならやってやろう」と思って、社員旅行で肝試しを企画しました。これまで培ってきたデジタルインスタレーションに加え、スマートフォンの位置情報を利用して色々と仕掛けを作って、相当怖い内容に仕上げました。なにせ自分の企画が懸かっていましたからね(笑)。
――:社員の方の感想はいかがでしたか。
頓花:嬉しいことに、すごく好評でした。これをきっかけに事業としての可能性を認めてもらうことができ、ホラーコンテンツ専門の会社「株式会社 闇」の設立となりました。最初はまさか自分が社長になるとは思ってなかったんですが、やるからにはホラーコンテンツのクリエイターやファンの人たちに注目してもらえるように頑張ろうと思って、社名も思い切って「闇」に決めました。
――:ホラーコンテンツ専門の会社らしい社名だと思います。
頓花:いかにも怪しい謎の会社だと思ってもらえるように、至るところにネタを仕込んでいます。社名はとにかくインパクト重視で決めて、URLはdeath.co.jp、設立日はエイプリルフールの4月1日にしました。資本金は「闇」の語呂合わせで83円です。会社概要は冗談みたいに見えるけど、ちゃんと実在しているという驚きを与えたかったんですね。とにかく話題にしてもらおうと。
――:そういった思いがあって、あのコーポレートサイトが生まれたんですね。
株式会社 闇 – コーポレートサイト(ver.2)
http://death.co.jp/
※心臓の弱い方・心身の健康状態に不安のある方は閲覧をお勧めしません
頓花:そうなんです。会社設立の手続きなど色々なことが重なって、ver.1は実質1ヵ月弱程度のかなりタイトなスケジュールで制作しました。
――:コーポレートサイトはホラー好きの人も唸らせるクオリティでしたが、そんな短期間で作られていたんですね。
頓花:人を驚かせたり怖がらせたりするアイディアはずっと温めていましたから、コーポレートサイトに思いっきり仕込みました。学生の頃はインターネットの黎明期に流行ったブラクラ(ブラウザクラッシャー – 閲覧者を驚かせるようないたずら目的のWebコンテンツ)が大好きだったので、Webの技術を手に入れた今、作りたかったものをやっと作れるようになったという気持ちです。
――:Webサイトを公開して、反響はいかがでしたか。
頓花:公開直後から話題にしていただけたようで、しばらくTwitterの通知が止まりませんでした。こちらが嬉しくなるくらい、多くの人が怖がってくれていましたね。SNSでどんどんシェアが広がって、友達や周りの人をサイトへ誘導してくれる人もいて、それが一番嬉しかったことです。しかも、公開して1時間ほどでホラーコンテンツに関するご依頼をいただくことができました。
――:すごい急展開ですね。
頓花:はい。それも日本ホラー界ではレジェンド的存在のお化け屋敷プロデューサー・五味弘文さんの手掛けているプロジェクトでした。僕は五味さんの大ファンで、いつか一緒に仕事をさせていただけたらと密かに思っていたんですが、公開1時間後には、ありがたいことに、ご一緒できることになりました(笑)。その後は公開から2ヵ月で100万PVを達成しました。
――:恐怖・驚きという感情は、一般的には誰にとっても避けたいものです。でも、そこにはマーケティングやプロモーションにメリットとなる力がありそうですね。
頓花:非常にあると思います。
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