【決算概要】
株式会社エイチームは3月9日に2018年7月期第2四半期の決算を発表した。第2四半期(2017年8月1日~2018年1月31日)の連結業績は売上高180億6927万円(前年同期比18.2%増)、営業利益20億5677万円(前年同期比101.1%増)、経常利益20億7691万円(前年同期比93.9%増)、純利益は14億3300万円(前年同期比112.0%増)となった。
前年同期比(YoY)、前四半期比(QoQ)共に増収増益を記録。ライフスタイルサポート事業及びEC事業の成長により、売上高が増加。なお、利益の増加は、エンターテインメント事業における広告費抑制とライフスタイルサポート事業の寄与によるものという。
(出典)2018年7月期 第2四半期 決算説明資料 p9
(出典)2018年7月期 第2四半期 決算説明資料 p10
(出典)2018年7月期 第2四半期 決算説明資料 p12
【事業状況】
エイチームは、大きく分けてエンターテインメント、ライフスタイルサポート、ECの事業からなる。
エンターテインメント事業
スマートフォン向けゲームを展開しているエンターテインメント事業は、セグメント売上86億3513万円(前年同期比3.8%減)、セグメント利益は17億5013万円(前年同期比57.7%増)となった。第2四半期では、全体として減収傾向にある中、『ユニゾンリーグ』(2014年12月リリース)の年末年始イベント施策が功を奏し、売上高がQoQで微増に。また、2018年1月末に開催したTVアニメ「FAIRY TAIL」のコラボイベントが奏功し、App Storeのセールスランキングもトップ30に返り咲いた。
(出典)2018年7月期 第2四半期 決算説明資料 p16
他方、『ダービーインパクト』(2013年5月リリース)、『三国大戦スマッシュ!』(2015年3月リリース)、『ヴァルキリーコネクト』(2016年6月リリース)は引き続き運用の効率化により、継続して収益に貢献。『ダービーインパクト』では、2018年1月30日に漫画「社長 島耕作」とのコラボイベントを開始し、話題を呼んだ。
なお、セグメント利益については、売上トレンドを見据えながら広告費を抑制し、効率的な運用を実施したため、増益となった。
ライフスタイルサポート事業
引越し比較・予約サイト「引越し侍」、自動車査定・買取サイト「ナビクル」のほか、ブライダル、金融サービスなど生活に密着したWebサービスを運営するライフスタイルサポート事業は、セグメント売上82億6754万円(前年同期比47.5%増)、セグメント利益12億3692万円(前年同期比77.5%増)となった。
(出典)2018年7月期 第2四半期 決算説明資料 p18
各サブセグメント事業が総じて好調に推移したことにより、売上高が増加。セグメント利益は、売上成長による利益寄与に加え、主にブライダル関連事業における利益寄与がけん引し、前年同四半期比で増収増益となった。ブライダル関連事業は、2017年7月期にはサービス名称変更後、サービス認知度向上のためのTVCM等、広告投資が集中したことにより利益寄与が限定的だったことに対し、第2四半期においては通常の運営体制となり、事業成長による利益寄与と前年同四半期比で増収増益に。
(出典)2018年7月期 第2四半期 決算説明資料 p19
ここからは、各サービスの概況にも触れていこう。引越し・自動車関連事業は引き続き日々のサイトの改善、プロモーション活動などにより順調に利用者を増やし、継続して業界トップシェアを維持。ブライダル関連事業は、全国6エリアに12店舗のハナユメウエディングデスクを展開しており、継続して「ハナユメ定額ウエディング」、「ハナユメフォト」等のブライダル周辺サービスを拡充しながら、サービスの品質向上に注力し、順調に利用組数を増やしている。
金融メディア事業はキャッシング・カードローン総合比較サイト「ナビナビキャッシング」に加え、新たにリリースしたクレジットカード比較・情報サイト「ナビナビクレジットカード」、住宅ローン比較・情報サイト「ナビナビ住宅ローン」及びFX比較・情報サイト「ナビナビFX」の立ち上げに注力し、引き続き利用者数を伸ばしている。
また、2017年12月にIncrements株式会社を子会社化。同社は、プログラマ向けの技術情報共有サービス「Qiita」及び手軽に書けるチーム内情報共有ツール「Qiita:Team」の開発・運営を行っている。エイチームは子会社の経緯について、「資本を活用した中長期的成長の実現、企業価値の向上加速のため」としている。今後は、新たな事業成長による収益貢献のほか、エンジニアをターゲットとする認知度の向上による採用力の向上に努めていくという。なお、Increments株式会社の業績寄与は2018年7月期第3四半期以降。
(出典)2018年7月期 第2四半期 決算説明資料 p4
EC事業
自転車専門のECサイト「cyma(サイマ)」を運営するEC事業は、セグメント売上11億6660万円(前年同期比66.2%増)、セグメント損失1億1269万円(前年同四半期は8091万円の損失)となった。事業規模が順調に拡大し、YoYで大幅に成長した。QoQでは閑散期のため減少。
(出典)2018年7月期 第2四半期 決算説明資料 p21
【見通し】
2018年7月通期の業績予測は、売上高400億円(前年同期比15.6%増)、営業利益47億円(前期比15.3%増)、経常利益47億円(前年同期比14.1%増)、当期純利益31億円(前年同期比20.2%増)を見込んでいる。
(出典)2018年7月期 第2四半期 決算説明資料 p27
エンターテインメント事業では、引き続き主力タイトルである『ヴァルキリーコネクト』『ユニゾンリーグ』の既存ゲームアプリの効率的な運用と成長余地のある海外での売上拡大に努めながら、新規ゲームアプリの開発に取り組んでいくという。
リリース予定の新規ゲームアプリ(1~2本)は、リリース時のプロモーション費用を十分に織り込みつつ、売上貢献は保守的に予想。既存ゲームアプリは現時点で想定できる費用を織り込んだ上で、直近のKPI推移を踏まえ、前期比で横ばいと予想。
ライフスタイルサポート事業では、第2四半期がサブセグメント事業それぞれにおいて、利用者数の増加、利用者1人当たり売上高の向上ならびに利益率の向上を図りながら、サービス間の相互送客・継続顧客の獲得に注力予定。各サブセグメントの周辺サービスや新たな産業領域におけるサービスについては、現時点で想定可能な範囲内で企画・開発に必要な費用を織り込んで業績を予想している。
EC事業では、引き続き組織基盤・体制を整えるための継続投資費用を十分に織り込むという。収益貢献は足元のKPIを踏まえつつ、神戸物流拠点を軌道に乗せ、キャパシティ増大による売上拡大を見込み、季節要因等を加味しながら想定可能な範囲内で合理的に予想している。
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