着目すべきは“定着”。継続成長の秘訣はアプリ内マーケティングにあり!【SESSION2-B】

(左からココネ株式会社の佐野氏、Repro株式会社の重崎氏)

2019年4月16日、東京・新宿にて国内最大級のアプリマーケティングイベント「Next Marketing Summit 2019」が開催。

第3回目の今回は、3会場同時進行にて過去最多の14セッションを実施。スマートフォンゲームをはじめ、ニュース、マッチング、ファッションなど多様なジャンルのキーマンが熱いディスカッションを繰り広げました。

本稿ではB会場で行われた「着目すべきは“定着”。継続成長の秘訣はアプリ内マーケティングにあり!」の様子を紹介。登壇者は、Repro株式会社の重崎竜一氏、ココネ株式会社の佐野孝行氏の2名です。

【登壇者情報】
<スピーカー>
重崎 竜一 – Ryuichi Shigezaki

Repro株式会社
Business Development Manager

2012年、株式会社ECナビ(現: 株式会社VOYAGE GROUP)に新卒入社。ソーシャルメディアマーケティング関連の子会社立ち上げに参画し、2014年子会社取締役に就任。2015年12月にSSP事業を展開する株式会社fluctに異動。モバイルアプリ向けのSSP事業を立ち上げ、事業責任者として成長を牽引。2018年11月からRepro株式会社にてスマホゲーム市場での事業開発を担当。

佐野 孝行 – Takayuki Sano

ココネ株式会社
事業本部 事業本部長

ミクシィ、アパレル企業でのエンジニアとしてのキャリアを経てグリー入社。エンジニアとして入社後、「探検ドリンランド」のプロデューサーや、新規タイトルのプロデューサー/ディレクター、海外展開事業のプロデューサーなどを経験。2017年よりココネ株式会社に入社し、複数タイトルのプロデューサー/ディレクターなどへて、国内タイトルを統括する事業本部長に就任。
 

■需要が高まるアプリ内マーケティングの現状とメリット

重崎:みなさん、こんにちは。このセッションは「着目すべきは“定着”。継続成長の秘訣はアプリ内マーケティングにあり!」というテーマでお送りしていきます。まずは私の紹介からさせていただきます。

私が所属するRepro株式会社は、同名のマーケティングツールを提供するスタートアップ企業です。現在は設立6年目を迎え、従業員は170人ほどです。ツール「Repro」をはじめ、データを活用し、分析機能とマーケティング機能を一気通貫で提供しています。また、定量分析による課題発見後、データ連携によるCRM(顧客管理ツール)・広告配信も実現可能です。

我々はツールをご提供すると同時に、デベロッパー様に事業のKPIを解決していただくことに重きを置いて活動しています。その点が評価され、今や世界で59ヵ国、6,500サービスに導入いただいています。

本日は、アプリ内マーケティングの重要性を理解し、明日からの業務でKPIを改善できる状態までに昇華できればと考えています。そもそもアプリ内マーケティングと聞いて、具体的にどのようなものなのか頭に浮かんだ方はどれくらいですか?

(来場者が挙手する)

……10%くらいですね。我々の定義ですが、アプリ内マーケティングとは、ユーザーのLTV最大化が目的になります。必要なユーザーに、必要なメッセージを、必要なタイミングで届ける、まさにUX(ユーザー体験)を最適化するマーケティング手法です。

UXにとって大事なのは、ハードとしてのプロダクトだけではありません。たとえば、ディズニーランドのように、キャストがユーザーの気持ちを考えながらコミュニケーションしていくことが必要で、UXはプロダクトとコミュニケーションがセットで良くしていくものだと思っています。

アプリに関してもゲーム・非ゲーム問わず、プロダクトを良くすることはもちろん、ユーザーとのコミュニケーションでUXを良くしていく。それが結果としてLTV向上につながっていきます。

この手法には大きく2つあります。プッシュ通知とアプリ内メッセージです。プッシュ通知はリテンションレートの改善に効果的で、アプリ内メッセージはアプリ内でのコンバージョンレート、行動促進に効果があります。

手法だけ切り取ると「なんだこんなことか…」と思われるかもしれませんが、これには意外とビジネスインパクトがあります。

左のグラフをご覧ください。広告予算が月500万円あるアプリで、仮にCPIが500円だとすると、ダウンロードは1万人獲得できます。1ヵ月後のリテンションレートが15%であれば、1500人のユーザーが残存します。

次に中央のグラフにご注目ください。これは、同じアプリで1ヵ月後のリテンションを5%改善したシミュレーションになります。なぜ5%を資料としているのかというと、今Reproのクライアント様がアプリ内マーケティングを最適化していくと、だいたい半年以内に3~5%改善を見込めるので、それらが数値になっています。

グラフを見ていくと、同じ予算とCPIで、同じダウンロードを獲得した場合、リテンション率が5%改善されると、2000人の残存が見込めますので、500人の差分が生まれます。

論点は、この500人をアプリ内マーケティングなしで残存させるには、広告予算がいくらかかるのか、ということです。一番右がそのグラフです。

500人の差分をリテンションレート15%で割り戻し、CPIを掛けると、168万円という数字が出てきます。つまり2000人の残存を見込むのであれば、合計で670万の広告費が必要になります。

プッシュ通知やアプリ内メッセージは一見して地味な作業に思えますが、結構なビジネスインパクトがある取り組みであることが分かりますね。

では、なぜゲーム事業者様の多いこの場で、アプリ内マーケティングのお話をさせていただいているかというと、その必要性が高まってきているからです。現在の市場では、開発費をかけて新規タイトルをリリースしてもヒットは難しくなっています。ユーザー獲得コストにおいても、中国勢の出稿が強まるなどの背景があり、CPI高騰傾向にあります。つまり、ゲームの開発費も広告コストも高いという状態です。

2~3年前では、仮にDAUが下がったとしても、CPIをキープしながら新規ユーザーを増やせば、一定のユーザーがゲームを楽しんで課金をし、ビジネスが成立していました。しかし、現在はCPIが高騰する中で、リテンションレートは3日で8割ほど落ちてしまうので、獲得したユーザーを残し、長く遊んでいただけるようにする施策がマーケターにとって重要になってくると考えています。以上がアプリ内マーケティングのメリット、および市場から見た必要性です。

続いて、実際にゲームのクライアント様が、どのような課題に対してアプリ内マーケティングを行っているのか、簡単にお話したいと思います。

このスライドは、アプリの起動からガチャに向けた、ユーザーの成長ステップです。矢印に注目してください。初回のクエストをクリアするまではシンプルな一方通行です。しかし、この後いろいろな機能があるアプリのため、ライトユーザーは迷ってしまいます。迷った結果、リテンションが落ちてくるというケースが往々にしてあります。

これに対して、どのようなアプリ内マーケティングが考えられるでしょうか。

「初回起動後、チュートリアル未突破で数日経過した」ユーザーに対して、「なぜチュートリアルを突破していないのだろう」と考えます。そのひとつの仮説として、「ゲームの魅力が伝わっていない」というユーザーの成長阻害要因を見つけられた場合、プッシュ通知でゲームの魅力を訴求していきます。これはすごくシンプルな話です。

一方「チュートリアルを突破したものの、具体的な行動・経験をせずに休眠してX日経過した」ユーザーの場合、「なにをすればいいかわからなくて困っている」という仮説をのもと、迷わせないためのプッシュ通知を送っていきます。「次はこのクエストをやりましょう」、「この機能を使いましょう」という具体的なアクションを送るのがポイントです。

アプリを起動した後にユーザーを待ち受けているログインボーナスやお知らせなど、デフォルトで埋め込まれているようなポップアップが多々あります。そこでもユーザーは迷ってしまう傾向にあるので、アプリ内メッセージにおいても具体的な行動を訴求していき、迷わせないことが重要です。

それでは、ここからグループワークに移りたいと思います。グループワークのテーマは、「『ハロースイートデイズ』の新規インストールユーザーの定着施策を考える」です。

目的は、「アプリをダウンロードし、水やり・キャラ交流をする前に離脱してしまったユーザーをプッシュ通知で呼び戻す」→「呼び戻したユーザーをアプリ内メッセージで誘導する」こと。対象のペルソナ説明は次の通りです。

 

【グループワークの様子】

▲B会場では、グループワークを通じた実践的な内容を展開。テーマは「『ハロースイートデイズ』の新規インストールユーザーの定着施策を考える」について。短い時間ではありましたが、各テーブルで様々なディスカッションが行われました。
 
 

■『ハロースイートデイズ』におけるReproの活用

重崎:みなさん、グループワークお疲れ様でした。実際にココネさんでは、どのようにしてオンボーディングを改善されたのか、そのなかでReproをどう使っていただいたのか、佐野様より発表していただければと思います。佐野様、よろしくお願いします。

佐野:よろしくお願いします。改めまして、ココネの佐野と申します。ココネは創業から10年が経ちました。運営8年目を迎える着せ替えアバターアプリ『ポケコロ』は、延べ2000万人以上の女性に遊んでいただいています。

今回お話させていただく『ハロースイートデイズ』も着せ替えアバターアプリです。『ポケコロ』のノウハウをベースに、サンリオキャラクターたちと交流を楽しんだり、癒されたりするアプリになっています。ファッションやインテリアのコーディネートを楽しむことが本筋ですが、ほかのユーザーのところに訪れて、水やりをして実を収穫し、パーティーを開催するなど交流要素も醍醐味です。

リリース後の反響では「かわいい」「癒される」「ずっと見ていたい」「キキララやキティちゃんが部屋に来てくれた」など、イラストのテイストや、キャラクターが遊びに来てくれるという点がとても好評でした。

幸先のいいスタートを切ったものの、その後はなかなか成長していかないという状況に陥ってしまいました。30日後の継続率は『ポケコロ』の70%程度、ARPUに至っては20%程度と、サービスを継続するのに苦しい状況でした。

アバタービジネスは、ファッションアイテムをリリースし続けなければ、お客様も継続して楽しむことができません。売上は上がらないのに費用は増える一方で、普通の会社ですとクローズしてしまう状況でしたが、ココネはあきらめが悪い会社でした。

なぜならココネでは、お客様に合わせてチューニングするということに関しては自信がありましたので、実際にリリースしてからサービスを直していくことにフォーカスしました。この時点で、『ハロースイートデイズ』の課題はシンプルでした。

サンリオファンの反応は上々、しかし長く遊んでいただけない。課金していただけない……という状況で、我々がどうしたかをお話します。

リリースから数ヵ月は基本コンセプトを変えずに、チュートリアルの変更、バランスの調整やイベントの投入など、原型を維持したまま改善を試みました。しかし、1ヵ月、2ヵ月とサービスを続けていても、成長していきませんでした。

細かな課題が見えてきて、早く成果を出さなければならないという焦りに対して、施策に決め手に欠ける状況でした。それを打破するための最後の一手として、徹底的にお客様のことを調べることにしたのです。

具体的には「お客様の遊びがどのように流れているのか」「サンリオファンが何を求めているのか」を考えました。そこで、お客様自身が継続して遊べない、目標を見出せない、という課題が見えてきたのです。

ココネでは、定期的にサービス内でアンケートを取るようにしています。また、CX(顧客体験)をサポートするチームから、お客様の意見を吸い上げたり、Twitter、SNS、掲示板から情報を集めるチームを活用したりしています。

また、アプリを利用しているお客様を会社にお呼びして、直接インタビューも行いました。各タイトルで週1回ほどお話を聞いております。お客様インタビューでは、表面的な話だけではなく、真意や本質を引き出すために、堅苦しい雰囲気でないフリーディスカッション方式で深掘りしていきます。

こうした集めた情報を基に、お客様が実際に抱えている不満を洗い出します。インタビューなどを経て、CXチームから「こういう質問をして、このお客様(ペルソナ)がこういうものを好みだと答えた」というようなレポートが上がってきます。

そこで見えるのは、お客様が辞めてしまう理由です。「フレンドリストがよくわからない」という細かいものもあれば「操作しづらい」「友達ができない」というそもそもの話もありましたが、一番大きいのは「キャラクターと交流できない」という点でした。

そこで、キャラクターとの接触を後押しするために導入したのが「スマイルタウン」です。キャラクターが生活しているところで交流し、親密度を上げるというコンテンツになっており、日常的な会話をすることでよりキャラクターを好きになってもらうためものです。キャラクターが「眠いけど怖い夢をみちゃった」と話すと、キャラクターをさすって寝かしつけるミニゲームが発生します。

このとき、最初に僕は「どれくらい画面をこすれば寝るか」と素早く画面をこすることで寝るように設定をしたのですが、女性メンバーから「寝かしつけるときにそんなに乱暴にする人はいません」と怒られてしまいました。この感覚について多少の男女差はあるかもしれませんが、たしかにその通りで、その後のコンテンツに関しては女性メンバーの意見を取り入れたり、任せたりして進めていきました。

男性目線で考えると一見どうでもよく思えるコンテンツをたくさん盛り込んだところ、女性メンバーの間ではとても盛り上がりました。こうして女性メンバーの助けもあって、本作では日常生活としてキャラクターと接触するということを意識して改修を進めていきました。結果的に、男性から見ても出来上がりがすごくかわいいものになりました。

新しい遊びの流れとして、水やり、コーデ、パーティーのほかに、キャラクターと会話をこなしていく、「キャラクタークエスト」を追加。キャラクターと交流していくとハートが貯まるので、それでガチャやアイテムの入手ができるようにしました。

こうしてサイクルを2つ回せるようにしたことで、まずはサンリオファンのお客様にキャラクターと交流して世界に入り込んでいただき、そのなかで自分のコーディネートなどを見つけて、ほかのお客様と交流していただけるようになりました。

すると、当初『ポケコロ』の70%だった継続率も同水準まで上がり、ARPUも20%のところから80%まで成長し、売上が回復して、事業性を保つことができるようになりました。

ところがリニューアル後に別の問題が発生。やることが増えたことで、チュートリアルが丁寧かつ長くなってしまい、今度はチュートリアルでの離脱者が増えてしまったのです。ここで、離脱者にフォーカスしたReproの活用のお話に移っていきます。

定着までの流れは、先ほどの説明通り、ダウンロード→水やり・交流など→他人と交流→アイテム獲得、という感じです。これらを踏まえて、どのステップでどういうお客様が落ちているのかを細かくチューニングしていきます。

「初日にチュートリアルを突破していない」「7日後に〇〇(コンテンツ名)をしていない」など細かくセグメントを切っているので、プッシュ通知を送ったり、アプリ内メッセージを送ったりしました。なお、メッセージは各キャラクターから届くという形です。

プッシュ通知による前後の継続率の変化は、翌日の継続率でも、そこから毎日2%ずつブレていきます。

初期離脱者に対してはただ「キャラクターからのメッセージだよ」と言っても伝わらないので、画像付きのメッセージを用意。様々な表情があり、場面に適したメッセージを送っています。画像を付けることで、プッシュ通知の開封率が2%から5%まで上がり、コンバージョン率も10%から20%に上がりました。

また、「何日目に〇〇(コンテンツ名)をやっていない」というユーザーセグメントに対して、アプリ内メッセージが自動的に機能(コンテンツ)の画像と「どのボタンからどうやっていくか」という説明を表示させます。未経験者へメッセージを出すことで、アプリへの慣れを促進できるので、継続率がかなり改善できました。

柔軟なターゲット設定ができるので、初期の定着率以外にも使えます。たとえば、「1日以内にチュートリアルは終えているけど、課金はしたことがない」という人に対して緊急にセールをやりたいときにも、管理画面から簡単にお知らせができるので、非常に便利です。

では、最後にココネ流サービス改善の3つのポイントを紹介します。

■お客様に寄り添った丁寧な企画・運営
■全員でお客様をエスコートする気持ち
■お客様の状況に応じたメッセージング

特にReproを利用しているのはこの「お客様に合わせたメッセージング」の部分になります。

ココネの考え方としては、お客様にしっかり満足していただければ、売上は後から付いてくると思っていますので、このあたりを丁寧にやっています。以上が、今回Reproを導入して取り組んでいることのお話となります。

重崎:佐野様、ありがとうございました。それでは、お時間となりましたので、セッションはここまでとさせていただきます。

 

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