【Choice!成功のトリガー/プロデューサー篇】04.株式会社シシララ 代表取締役社長 安藤武博<大望編>

新デバイスに挑戦し続け、誰よりも時代の先を読む意思と力

[Topics]
■常識を打ち破るかつてないアイディアと挑戦
■新たなデバイスで戦う方法と意味
■起業し、一生涯ゲームを作り続ける意思

前編 は下記よりご覧ください。

■【Choice!成功のトリガー/プロデューサー篇】
04.株式会社シシララ 代表取締役社長 安藤武博<大望編>
業界の最前線で戦うプロデューサーが語る“6億円のしくじり”



 

常識を打ち破るかつてないアイディアと挑戦

――:29歳にして6億の赤字を出して、いよいよ大望編ですね。

『ヘビーメタルサンダー』で6億円の赤字を出し、責任を感じて退社を決意します。綺麗な言葉で言うとそうですが、ただ会社に居づらくなって逃げようとした(笑)。日本から逃亡してスペインでたこ焼き屋のチェーンを展開しようかと本気で思っていました。
 

――:思った以上に具体的な未来志向ですね。

傷心旅行を兼ねてポルトガルの西の果てまで行ったんですよ。道中、スペイン人に「スペインでたこ焼き屋をやりたいと思うんだけど、どうかな?」と相談したら、「新しい物好きのバルセロナなら行けるかも」と。じゃあ、やるかと。店の名前は「NINJAたこ焼き」にでもしようかなと。色々考えながら帰国したら、会社から「何やってんの安藤さん」「赤字の総括はよ」「6億を返せ」と言われて現実に引き戻されました。

でも、辞める決意はしていましたし、逃げる気マンマンです。総括会議で「もうゲームは作りません。作れません。お金たくさん使ってすいません。全部俺のわがままです。アホなんで会社辞めます。」と伝えようとした直前、スクウェア・エニックスの役員・田口浩司さんに言われた一言があったんです。田口さんは『鋼の錬金術師』を始めとしたアニメ企画を当てた人で、スーパープロデューサーと呼ぶべき、今でも尊敬している人なんですよ。ちなみにめちゃくちゃ強面。完全にその筋(笑)。
 

――:その方からも退社を止められたんですか?

止められた……んですけど、内容が、僕が「会社を辞め……」くらいまで言ったときに、田口さんが「おい、待てや。辞めるなら二つある臓器を片方売ってでも、金返してから辞めろや。」と。まあ議事録には載せられないですよね。大らかな時代です(笑)いや当時は笑い事ではなかったよ!

強面なんですが愛があるんですよ。これらの言葉を翻訳すると、田口さんは「ゲームで失ったお金は、ゲームを売って返せよ。」と言っているんです。つまり、僕があれだけ大振りの三振をしても、まだ2打席目があるぞと。アウト1つで即退場ではないと。
 

――:かけられた言葉は強いですが、その真意は安藤さんへの期待が含まれていますね。

そう。もうひとり声をかけてきたのが、当時の後輩だった渡部辰城さんです(のちに株式会社DeNA ゲーム事業担当執行役員。現在は脚本家でもある)。部門自体は違いましたが、『鈴木爆発』を作っているときから向かいの席に座って現場を良く見ていて、一緒に飲む機会も多い、いわば仲間ですよね。

当時彼は『ドラゴンクエストⅤ』のPS2リメイクを作っていたのかな。違う部門だったんですが、ある日わざわざ僕のところに来て、「安藤さん、会社絶対やめようとしてるでしょ。見ていたら分かりますよ。」と言ってきた。そして、僕が作るゲームは面白いし気になると褒めつつも「絶対買いたいと思わない」と。いきなりですよ。後輩ですよ?(笑)

当時のゲームはほとんどが買い切り型で、言い換えればゲームをプレイする前に支払う“前払い制”です。その状況を踏まえて「安藤さんの作るゲームに5000~6000円払うのはリスキー過ぎる」と言われたんです。「じゃあ、いくらだったら買うんだ?」と聞くと、秒で「500円」と。後輩ですよ?(笑)

そして、「アイディア自体は見所があるから、どうにかして売れるものを一緒に作りましょう。」と言ってくれた。

今でこそ基本プレイ無料のゲームが浸透していますが、当時はまだまだパッケージ販売が多い。彼の言う500円でゲームを売るなんて不可能だと思いました。しかし、自分が手がける作品はプロデューサーがヘボくて、どうやっても500円のバリューしか出せない。その上で内臓を売らずに6億の借金を返すには……と。ここから500円でゲームを売りまくるにはどうすればよいか、本気で考えるようになりました。
 

――:安藤プロデューサー復活ですね。

とは言っても前途多難でしたねー。まずは市場調査。

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