ライブ配信をメインに据えた「東京ゲームショウ2020 オンライン」。初の試みを含めたその特色をレポート

2020年9月23日(水)から27日(日)まで、「東京ゲームショウ2020 オンライン」(略称:TGS2020 ONLINE」が5日間の会期にて開催されました。今年は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、幕張メッセでの開催を中止し、初のオンライン開催となりました。

会期中は、23日からオンライン商談が始まり、オフィシャルサポーターのはじめしゃちょーさんらが出演する24日(木)20時の「オープニング番組」を皮切りに、公式番組が配信。

公式番組では、出展社が最新情報などを発信する「公式出展社番組」35番組のほか、「基調講演」、「eSports X」4番組、インディー開発者のプレゼンイベント「センス・オブ・ワンダー ナイト(SOWN)」、「日本ゲーム大賞」各部門の発表・授賞など16の主催者番組が配信されました。視聴にあたって事前登録やログインの必要はなく、無料で楽しめました。

ただ、出展社数は前年(2019年)の655社から、今年は424社まで減少。未曾有のオンライン開催ということもあり、出展を見送る(なかでも)中小・海外企業が数多くいたことも事実ですが、それでもコロナ渦で年に一度のゲームの祭典が開催されたことは意義深いことです。

今回はNEXT MARKETING編集部独自の目線で「TGS2020 ONLINE」をレポートし、今後のトレンドを考察します。
 

TGS2020 ONLINEの特徴

TGS2020 ONLINEでは、34の国と地域から、424の企業と団体がオンライン出展し、新作タイトルや新サービスなどに関する情報を番組や出展社ページを通して発信されました。出展社数の地域別内訳は、国内が203社、海外が国内を上回る221社となり、韓国(46社)、中国(22社)、カナダ(20社)、台湾(19社)、米国(17社)、ポーランド(13社)、コロンビア(10社)が10社以上となっています。

前述しているように、今年のメインは「公式出展社番組」でした。つまり、ライブ配信によるプロモーション活動が中心だったということです。公式出展社番組の参加企業は33社(国内28社、海外5社)、番組数は35。下記がその「タイムテーブル」です。

▲公式番組タイムテーブル(関連リンク
 

公式出展社番組では、20:00~24:00の時間帯で配信されるゴールデン枠と、それ以外の時間帯で配信されるレギュラー枠がありました。ゴールデン枠を20:00~24:00とかなり遅い時間に設けていますが、ゲームユーザーやインターネット生放送、SNSの閲覧者にフックしやすい時間帯とも言えます。ほかに、会期中には企業のチャンネルで配信された「独自番組」も展開。

TGS2020 ONLINEを振り返ったとき、「各企業がライブ配信を行っていただけ」に終始しそうですが、各企業が1時間(なかには2時間)入れ代わり立ち代わりで番組を展開していくさまは、バトンをつなぎながら、ゲーム業界を盛り上げているよう。

一方で、TGS2020 ONLINEならではのメリットはあったのでしょうか。クリティカルではありませんが、間接的なメリットは下記のようなものが挙げられます。

・TGS会期中のため、主催者や出展企業が公式出展社番組を宣伝(視聴者増)
・朝から深夜(最長午前1時の回も)まで、長時間に渡って配信される
・各番組終了後に、メイン司会者が次の番組を告知してくれた(導線確保)

3つとも些細なことかもしれませんが、さまざまなゲーム会社がひとつの番組でライブ配信を行うことが、かえってユーザーとの接点を作り上げることに寄与したのではないかと思います。番組は企業ごとに区切られているため、ユーザーは自分の興味があるタイトル(企業)だけを視聴するパターンがほとんどですが、それでも全くの新規ユーザー層にも接点を持つ機会を公式出展社番組が担っていることは言えるでしょう。

公式出展社番組に固執せずとも、会期中に独自番組として展開することもまた◎。実際、公式出展社番組で配信している企業も、いつも使用している企業(またはタイトル)チャンネルのほうで長時間のライブ配信を行っているケースも多々ありました。

これらは、特段予算(主に出展料に通ずる広告枠)をかけずとも、自社で行っているライブ配信をいつも通りに行えば問題ありません。いつもと異なる点といえば、さきに挙げた「TGS会期中」であることがメリットにもつながったものではないかと思います。

また、番組内容も企業ごとに特色が出ていました。

▲ガンホー・オンライン・エンターテイメントは、2020年6月25日よりNintendo Switch向けの3D対戦アクションゲーム『ニンジャラ』のゲーム実況を中心とした番組を放送。MCは芸人の今田耕司氏、東野幸治氏の2名。生放送ではなく収録であるためか、丁寧なテロップが入っているなど、さながらバラエティ番組のようでした。
 
▲セガ/アトラス。「すべてのセガファンに感謝をこめて」というコンセプトを銘打って配信された本番組では、セガの60周年についての歴史や記念ムービーのほか、バラエティに富んだ内容を展開。番組冒頭では、里見社長自ら、これまでに登場したセガのゲーム機を紹介していました。
 
▲miHoYoの新作『原神』のライブ配信では、奇をてらった番組演出はないにしても、配信翌日にリリースというベストタイミングでTGS2020 ONLINEを迎えていました。会期日程を把握し、最高の形でプロモーションにも寄与したことでしょう。
 

朝から深夜(最長午前1時の回も)まで、長時間に渡って配信されるのも初の試みです。例年の開催は、主に日中で行われ、夕方には終了します。全員ではありませんが、比較的ゲームユーザーは夜に活動することが多く、そういう意味では前述したゴールデン枠や長時間の配信は合致することがあるでしょう。

また、4日間、朝から深夜までゲームの最新情報に関するライブ配信が続いていることで、オンラインのなかでも一種の“お祭り状況”を形成できたのではないでしょうか。

▲Amazon.co.jpの特設会場(オンライン)では、公式出展社番組を配信しながら、番組中で紹介された商品が購入できる導線を設けていました。プロモーションから販売まで一気通貫で行える、非常にユニークな取り組みでした。


来年のTGSはどうなる

一方で、オンラインのためか、体験に根差した総合展示会としての魅力が発揮できなかったことは、主催者・企業側含めて心残りだったのではないでしょうか。

過去の弊誌で掲載したTGSレポートでも言及した通り、年々、TGSは体験重視型の展示に注目が集まっていました。売り文句や動画で盛り上げるよりも、ユーザーにとって自分自身の体験こそが最も信憑性の高い情報として心に残ります。百聞は一見にしかずと言いますが、体験に勝るメッセージはありません。

▲過去のTGSにおける各企業の展示

ライブ配信でも新規ユーザー層との接点が作れると言及しましたが、パブリックスペースで体験者の様子を見せるかどうかもポイントです。体験者が楽しんでいる様子は周囲へのアピールにもなりますし、それは“リアル”の展示会としての圧倒的な強みです。

TGS2020 ONLINEは、我々の見えないところで不測の事態もあったことでしょう。しかし、収穫も多分にあったとも言えます。

各企業は、ライブ配信を通したプロモーションに対して、いまさら目新しい思い入れはありませんが、 今回の公式出展社番組などの主催者側による横断的な発信は、グレードアップして次も採用されるのではないかと思います。

2021年のTGSがどのような立て付けで開催されるかは不明ですが、オンラインでも一定の盛り上がりを実現できたいま、また新しい形の展示会になることでしょう。

 

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