15周年を迎えた「Mobage」の今。中国のHTML5開発の新作がヒット、ゲーム間コラボで長期運営タイトルは成果を上げる

株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)が提供する「Mobage(モバゲー)」は、ゲームユーザーの人口を押し上げ、「GREE(グリー)」同様、一時代を築いたモバイル向けブラウザプラットフォームです。Mobageは、500種類以上のゲーム、アバターや日記、サークルなどのコミュニティ機能、さらにはニュースなどの便利ツールも搭載し、20~40代を中心とした幅広い年齢層に利用されています。

昨今、ネイティブゲームが主流ですが、現在もDeNAの主力事業であるほか、新規タイトルもリリースされるなど、業界内でも注目されています。なかでも長期運営タイトルを数多く抱えるMobage内では、「ゲーム間コラボ」を通した既存タイトルの事例が豊富です。

ゲーム間コラボは、どのようなメリットが生じるのでしょうか。また、打ち出す際の気をつけるべきポイントは。

本稿では、数々のゲーム間コラボを見届けてきた、DeNAの西田幸平氏と荒久田敏紘氏に最新事例とそのポイント、さらには昨今のブラウザプラットフォームの状況についてまでもお伺いしました。

株式会社ディー・エヌ・エー
プラットフォーム事業本部 ゲームプラットフォーム部 部長
西田幸平 氏(写真右)

プラットフォーム事業本部 ゲームプラットフォーム部
事業開発グループ
荒久田敏紘 氏(写真左)

[Topics]
■15周年を迎えた「Mobage」の今、そして挑戦
■ゲーム間コラボにおける売上増を裏付けるデータ
■『怪盗ロワイヤル』×『探検ドリランド』コラボの裏側

 

15周年を迎えた「Mobage」の今、そして挑戦

――本日はよろしくお願いします。まずはおふたりの担当業務から教えてください。

西田幸平氏(以下、西田):私はMobageをはじめ、PC向けブラウザプラットフォームの「Yahoo!モバゲー」、スマホアプリがPCで遊べる「AndApp」などを担うゲームプラットフォーム部を統括しています。DeNAには3年前に入社し、新規プロジェクトに関わったのち、現在のゲームプラットフォーム部を担当しています。

荒久田敏紘氏(以下、荒久田):私はMobageとYahoo!モバゲーの営業担当です。(開発・運営)パートナー様とゲーム内施策や広告出稿など、困っていることをヒアリングさせていただき、改善を含めたご提案を担っています。
 

――新規タイトルを獲得するというのも営業担当の業務でしょうか。

荒久田:そうですね。ただ、基本的にMobage内では既存の長期運営タイトルが数多くありますので、そこに対する業務が中心ですが、既存パートナー様からの新規ゲームの導入対応も私の方でおこなっております。
 

――「ネイティブシフト」と言われて久しいですが、直近の(ブラウザ)ゲームプラットフォームはどのような状況でしょうか。

西田:Mobageは2006年にサービス開始しました。実は、ちょうど来月の2月7日で15周年を迎えます(取材は2021年1月末)。これもひとえに遊んでいただいているお客様をはじめ、ゲームを提供していただいているパートナー様のおかげです。

事業の状況では、携帯電話とスマートフォン向けのサービスとしては最古参にはなりますが、幸いにも安定して数百万人規模のお客様に遊んでいただいています。売上面では、いまでもブラウザの消費額ベースで年間500億円規模となり、まだまだ弊社の屋台骨のひとつです。ゲーム数も500タイトル以上を揃えています。
 

――なにか新しい取り組みなどはありますか。

西田:実は現在、中国企業様を対象としたHTML5ゲームのリリース促進プログラムを展開しています。Mobageでは、『ポルト・ミラージュ』や『日替わり内室』などが対象でそれぞれ売上も好調です。
 

――中国のゲーム会社がブラウザゲームを開発する背景には、単純に開発環境の理由からでしょうか。

西田:そうですね。現在、世界で一番ブラウザゲームの開発力があるのは中国です。WeChatなどのメッセンジャーで動くタイトルや、その後PCやスマホでも展開できることから、中国としてはユーザー数最大化のためにさまざまなアプローチにつながるため、合理的な開発環境として選ばれているのかもしれません。その流れで、日本ではMobageのようにブラウザプラットフォームを選択するケースが増えています。
 

――そのニーズは高まってきているのでしょうか。

西田:はい。とくに中国企業側は、昨今の版号問題の影響もあり、これまで以上に海外展開の需要が高まってきていると思います。なかでも日本はARPUが高く魅力的な市場に映っているのかもしれません。

一方で、HTML5のゲームを日本で配信するにあたり、言語をはじめ日本の法律や契約面、運用・ストア対応のノウハウなど、一定のハードルがあることも事実です。そこで弊社がグループ会社であるDeNA Chinaの知見を元に、配信・運用をサポートし、Mobageの新規タイトルとしてリリースしている流れとなります。
 

――御社といえば、Web検索もブラウザゲームも楽しめるアプリ『SkyLeap(スカイリープ)』も配信されています。

西田:『SkyLeap(関連サイト)』は、ブラウザゲームのプレイに特化したアプリです。ジェスチャーで直感的かつ効率な操作や、コンテンツを邪魔しない新しいタブ表示ができます。

2019年にリリースし、徐々にアクティブユーザーも増えていき、いまでは毎月数十万人のお客様にご活用いただいています。ちなみにMobageだけではなく、他のプラットフォームのブラウザゲームでも活用できます。この背景には、今後もブラウザゲーム市場を活性化していくために、少しでもお客様の利便性向上、ひいてはパートナー様が増えることが重要だと考え、それらを目指して開発・提供することにしました。

 

ゲーム間コラボにおける売上増を裏付けるデータ

――ここからはゲーム間コラボについてお話をうかがっていきます。最近では、ネイティブアプリでもゲーム間コラボを行っているケースが増えましたが、いま思えば、MobageやGREEなどブラウザゲームは昔からさまざまなゲーム間コラボを行っていました。ゲーム間コラボ実施に至るまで、どのような背景があるのでしょうか。

荒久田: Mobageは長期運営タイトルを多く抱えていることもあり、実際に企業様とヒアリングした際に「新規の獲得が難しくなってきた」「ユーザーの継続率が低下している」などの課題でご相談を受けることがここ数年で多くなりました。そこで弊社から「ゲーム間コラボ」をご提案させていただいています。
 

――実際にゲーム間コラボはそれら課題の打開策につながるのでしょうか。

荒久田:そこを確かめるべく、Mobageのユーザー情報をベースに調査したところ、ゲーム間コラボにおける売上増を裏付けるデータが出てきました。

たとえば、1タイトルを集中して遊ぶお客様と、3タイトルなど複数遊ぶお客様のデータを調査したところ、”遊んでいるゲーム数が多いお客様ほど課金額も大きくなっている“ということが分かったのです。1タイトルのお客様と比較して、3タイトルだと課金額が3倍、4タイトルだと5倍もの差となりました。

この背景には、Mobageのユーザー層に起因しています。というのも、Mobageは15年つづいているゲームプラットフォームのため、ゲームに対する熱量が高いコアユーザー様が多く、熱量が高い分ゲームに対して課金していただいております。加えて、先ほど挙げた1タイトルを集中して遊ぶお客様も、ゲームのクローズが原因で止む無く1タイトルに集中しているだけであって、本来は過去3タイトルも遊んでいたコアユーザー様でもありました。

このようにMobageには潜在的なコアユーザー様が一定数おり、ゲーム間コラボというきっかけを仕掛けることで、ゲームを継続的に遊んでいるのでないかと考えています。決して多い人数ではありませんが、コアユーザー様が数%動くだけでも、ゲームにとっては大きなメリットがあります。
 

――なるほど。ちなみにコラボのマッチングも御社側で担うのでしょうか。

荒久田:はい。私からご提案させていただく場合もございますが、先方から「こういう企業とコラボしたい」というお話もいただくことがあります。
 

――ゲーム間コラボと一口にいっても、各種KPIやゲームの世界観など、判断材料がさまざまあると思います。

荒久田:そうですね。やはり売上規模やユーザー数などを鑑みて、コラボ先の選定を考えています。ただ、売上規模とユーザー数が同等のタイトルが一概に良いともいいきれなく、別のメリットがある際には合わせて紹介するようにしています。

西田:世界観に関しては、ファンタジー系のタイトルですと気にする企業様が多いかなと思います。とはいえ、規模が合えば果敢にチャレンジするのが良いと思います。それ以外の世界観を持つタイトルであれば、実は意外な組み合わせが好評を呼ぶケースもあります。過去に実施したタイトルで成果があれば、継続的に開催されるケースもありますね。

 

『怪盗ロワイヤル』×『探検ドリランド』コラボの裏側

――ゲーム間コラボといえば、2019年1月に実施した『怪盗ロワイヤル』と『探検ドリランド』(提供:グリー)のコラボ施策には驚きました。そもそもプラットフォームを跨いで行うコラボは、これ以前にもあったのでしょうか。

荒久田:私が知る限りでは、この施策が初めてですね。

 

――本来であれば、プラットフォーマーとして競合に送客しているので、躊躇することもたぶんにあったと思います。もともとはどういう経緯で実施に至ったのでしょうか。

西田:実は、両タイトルの運営・開発陣がときおり情報交換する仲でもあり、その流れで今回のコラボに至ったと聞き及んでいます。たしかにプラットフォーム側としては、送客の面でさまざまな懸念点もありましたが、それ以上にユーザーサプライズを優先し、コラボの実施を決めました。

かくいう私も、GREEプラットフォームのご担当者様ともよく情報交換しています。世間から見れば競合他社にはなりますが、現在は市場も様変わりしまして、いまはお互い「ブラウザゲームを盛り上げる」ために尽力している良き相談相手でもあります。グリー様とは、その後も『怪盗ロワイヤル』で『釣り★スタ』とコラボしています(2020年3月実施)。
 

――『怪盗ロワイヤル』と『探検ドリランド』のコラボでは、ゲーム内イベントで双方のキャラクターがボスとして登場したり、SNSのキャンペーンを実施したりと、賑わいを見せていました。実際の成果・反響はいかがでしたか。

荒久田:実はコラボ発表の前に、Twitterの公式アカウントでお互いのアイテムなどを登場させて、いわゆる”におわせツイート“でユーザー様の期待感を高めていきました。発表後も特設サイトを開設したり、PVを制作したりと、盛り上げていきました。

荒久田:コラボは2019年1月に実施したのですが、月間売上が前年比の20%増になり大成功となりました。また、長期運営タイトルのためか、休眠復帰ユーザーの流入が多くありました。先方のグリー様からも成果があったことを聞いております。

ちなみにゲーム内施策では、お互いの素材を活用したことで、制作費や監修コストを抑えられたとのことでした。

 

――成功要因はどこにあったのでしょうか。

西田:コラボ施策全般に言えることですが、やはりユーザーサプライズを意識したことではないでしょうか。そういう意味では、グリー様の『探検ドリランド』と弊社の『怪盗ロワイヤル』は相思相愛のタイトルであったかと思います。また、お互いの温度感やモチベーション、開発のスピード感、意識も合致したことがさらに成果を押し上げたものだと考えます。
 

――今後の展望について教えてください。

西田:我々の目標は、プラットフォームという場の価値を維持し、そして提供し続けることにあります。そのためには、市場環境をより良くしていくことが先決です。

たとえば、先ほど紹介させていただいた中国ゲームの輸入をはじめ、新規タイトルが続々と参入できる環境を整備することの重要性が挙げられます。中国ゲームの輸入もただマッチングするだけではなく、パブリッシャー様に対して翻訳会社を紹介したり、法律関係もレクチャーしたりと、包括的な取り組みを行うまでが環境整備といえます。

また、このような取り組みを通してリリースした新規タイトルについては、他プラットフォームや自社サービスでのリリースを基本的には制限しておりません。

国内の既存タイトルであれば、引き続き改修・成長に寄与するために、ログイン周りのUX改善やプラットフォーム側の送客に努めていきます。また、プラットフォーム内では新作の特集コーナーを新設しました。新規タイトルを見つけやすいうえに、プレイイメージが湧きやすいようなUXにしています。引き続きMobageでは、改善・改修に努めてより良いサービスを提供してまいります。

荒久田:私のほうでは、今後もパートナー様が長くタイトルを運営いただけるよう、全力でサポートしてまいりたいと思います。Mobageでは新規タイトルをリリースしたいと仰っていただける企業様がまだまだおります。新規タイトルの獲得に関しては、これまで力を入れてこられなかったですが、今後は強化していきます。モバゲーでの新規ゲームの展開や、DeNA Games Tokyoにて運用している怪盗ロワイヤルや農園ホッコリーナなどのタイトルとのコラボにご興味がある企業様がおりましたら、下記のメールアドレスまでお気軽にご連絡いただければ幸いです。

■Mobage、Yahoo! Mobage、AndAppでの新規ゲーム、
 DeNA Games Tokyo運用タイトルのコラボについてのご連絡先

opf-3rd_my@dena.jp

 

――本日はありがとうございました。

取材・執筆:原孝則
撮影・編集:NEXT MARKETING編集部

 

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