これからのヒットに不可欠なオーガニックインストール成長の秘訣。ゲームマーケティングの識者が集ったウェビナーを取材

2021年8月4日(水)に株式会社MOTTOと株式会社ネクストマーケティングが主催する、ウェビナー(WEB上のセミナー)「オーガニックインストール成長の秘訣 〜iOS14.5以降で変化するゲームマーケティングの大戦略〜」が開催されました。

第1部では、株式会社MOTTO代表取締役であり、今回の司会を務めた佐藤基氏をはじめ、株式会社アカツキのCMO/Marketing Guild General Managerの窪田真太郎氏、株式会社WFSのDigital Marketing チームマネージャー/シニアマーケターの加藤耕輔氏が登壇。

今後のオーガニックインストールについての考えや伸ばすためのアプローチ、それぞれの実際の事例やデータをもとにした効果測定とKPIなどが語られました。

第2部では、株式会社マイネット マーケティング部 部長/株式会社ネクストマーケティング 代表取締役社長の祭原祐氏による、オーガニックインストールと密接につながるアプリストア経由のインストール最大化サービス「GAME ASO」と、その成功事例が紹介されました。

本稿では、今後の時代に求められるオーガニックインストールに関するウェビナーをレポートしていきます。

 

オーガニックインストールとは。その重要性を再認識

第1部のはじめには、オーガニックインストールに関するアンケートが行われました。アンケート項目は「参加者のゲームのオーガニックインストールの割合」について。当日は約110人が参加していましたが、結果は「割合50%以下」が4割にも及ぶ結果となりました。


▲参加者によるオーガニックインストールの割合調査のアンケート結果。

この結果についてアカツキの窪田氏は「オーガニックインストールは体感的には80~90%」と語り、WFSの加藤氏も「大体70%以上くらいだと考えている」とのことで、意外にも「割合が少ない」という結果に言及していました。

裏を返せば、オーガニックインストールはまだまだポテンシャルを秘めており、その重要性を再認識するアンケート結果でもありました。

そもそも“オーガニックインストール”というのはどういうものを指すのでしょうか。

一般的に“自然流入”と訳されることもありますが、窪田氏は「MMP(モバイル計測プロバイダー)で獲得できている“追跡(トラッカブル)できないインストール”や、“広告キャンペーン以外の全てのインストール”」と定義。

加藤氏も同様に定義し、さらに「アトリビューション(広告費を確認するために、特定の変数に基づいて2つのデータを紐付ける技術)が付いていないもの」と言葉を添えました。


▲『ファミ通ゲーム白書2021』から見たチャネル。赤枠で囲んである部分は、追跡・計測できないケースとなっています。そのため、テレビCMや動画投稿サイト、口コミによるオーガニックインストールというものが、いかに大事なものかということがわかります。

 

「Push型」「Pull型」ふたつのオーガニックインストール

WFSの加藤氏は、オーガニックインストールを「Push型」と「Pull型」のふたつに分けて整理しているといいます。


▲オーガニックインストールの「Push型」と「Pull」型の分け方。

Push型は、コンテンツや情報などを顧客(ゲームユーザー)に戦略的に届け、リーチを広げてインストールにつなげるというもの。テレビCMや交通広告、YouTuber施策など、ある程度パフォーマンスの計測ができるものです。

一方Pull型は、口コミやストア、SNS、動画サイトで「見かけた」というような、計測ができずコントロールがしにくいものを指しています。

一口にオーガニックインストールといっても、これらの認識をすり合わせていないと、現状の理解と今後の戦略も変わっていきます。

では、オーガニックインストールはどのように増やせるのでしょうか。MOTTOの佐藤氏が、オーガニックインストールを増やす基本構造の参考情報を紹介してくれました。


▲スマホゲームのオーガニックインストールが増える基本構造の図。

まず構造の1つ目は「認知」。コンテンツを知っている人が多い段階を指します。

2つ目の「訴求」は、きちんとコンテンツの魅力をユーザーに伝える段階。

3つ目の「調査」は、その魅力がユーザーにとって信頼たるものなのか、評判はいいのかを確認する段階。

そして最後の4つ目の「行動」では、実際に遊んで満足度の高い結果を得る。

この4つの基本構造を通過していることで、口コミ、ひいてはオーガニックインストールの増加につながるのではないかといいます。

なかでも「人から聞いたから魅力が信頼できる」という口コミは訴求力があるとのこと。こうしたオーガニックインストールの定義や基本構造を理解することで、確度の高い施策を展開できたり、数値が伸び悩む背景を把握できたりするのです。

 

オーガニックインストールの事例。施策と結果について

ここからは、窪田氏と加藤氏が実施したオーガニックインストールの施策とそこから得た学びなどを紹介。

まず加藤氏が提示したのは、4つの事例です。これらを先ほどのPush型とPull型に分けつつ、解説していきました。

Push型では、前述した基本構造のなかの「認知」や「訴求」のふたつをいかに増やしていくのかというアプローチが大事であるといいます。

一方、80~90%の割合を占めるオーガニックの中でも、約50%以上がPull型に該当。ストアやTwitter、口コミなどでユーザーに接触する機会を設けるだけではなく、良質なコンテンツ及びその量にも意識し、いかにして話題を増やしていくというのが、Pull型のオーガニックインストールにつながると語りました。

Push型の具体的な成功例として挙げたのが、運用型のテレビCMです。全国に一斉に放映するのではなく、分析の精度を高めるために放送エリアを限定して運用型テレビCMを実施したところ、オーガニックが非放送エリアと比べて133%増加したとのこと。

反対にPush型の失敗例として挙げたのが、海外YouTuber施策です。

海外におけるリーチを増やすという課題解決のために、複数の海外YouTuberに案件動画としてゲームを取り上げてもらったものの、再生回数は想定通りだったのと対照的に、オーガニックにおけるインストールの増加トレンドは見られなかったようです。

しかし、他のタイトルでは良い結果が出ていたこともあったといいます。案件動画にしても「なぜこのYouTuberなのか」というコンテキストを大事にするべきだったのか、訴求の仕方などのミスマッチがどこだったのかという部分を学んだとのこと。

ちなみに、海外では国内と異なりプレイするタイトルが固定化されていないという状況もあり、オーガニックの割合が多いといいます。マーケティングコンテンツを投下していないような地域でも、日本と同等もしくはそれ以上の成果が出たりするので、海外のユーザーは自分でゲームを探しているPull型の行動を取っているとのことです。

さらに現在Pull型として続けているのが、『ダンまち〜メモリア・フレーゼ〜』の公式生放送の施策です。

生放送をYouTubeで毎週実施し、番組に合わせてSNSでのイラストコンテストなどのキャンペーンを開催。テキストの投稿よりもイラストなど、ユーザーの創意工夫が入っている方が反応率が高いのではという仮説から構成し、結果として良い反応が返ってきているといいます。

そのほか、ユーザー参加型の施策として行っているのが、ミラティブでの配信キャンペーンやイラストコンテストです。配信動画や二次創作などのコンテンツ量を増やしていくことで、広告以外でのユーザー接点を重視しての施策となっています。

続いては、アカツキの窪田氏の取り組みについて。

アカツキでは、マーケティングプランを認知、訴求、調査、行動、推奨の「5A」という5つのフェーズで分けたうえで、コンテンツを見て面白いと思う段階の「See」、それを取捨選択して共感し、コンテンツへの理解を深める段階の「Think」、実際に行動に移し、購買やその後の推奨行動を促進する段階の「Do」の3つに分けて考え、マーケティングコンテンツを設計。それを、プロモーションとプロダクトのふたつの軸に配置して進めていくといいます。

認知のためにテレビCM以外の施策として、メディアコンテンツの制作にトライしているようです。たとえば、漫画やドラマなどのメディアミックス施策もあれば、マイクロインフルエンサーを起用した映像コンテンツも制作するという。

獲得ボリュームの観点であればテレビCMの効果は絶大ですが、「世の中のトレンドにアジャストしたものであれば、同じようなレベルの流入効率を期待できる」と語りました。

これらの施策の難点として、再現性の難しさが挙げられます。しかし、アカツキでは再現性を高めるためにPR-IMPAKTという「対立」「最上級」「社会性」「セレブリティ」「数字」「世相、季節性」の6つの要素を意識して、世の中に伝搬しやすい要素を取り入れることを意識しているとのこと。

他方、「訴求」・「調査」でトライしていることは、大型施策を実施するタイミングで3~4媒体ほどに推奨記事を必ず仕込むということ。

記事の効果は直接的な効果は見えにくいものの、デプスインタビューなどでインストールまでの動線を追って見ると、意外と見られており、それが決め手になっているといいます。

しかし、こちらも再現性が難しいようです。たとえば、そもそもTVCMの段階が「魅力的ではない」と判断されてしまえば、認知のフェーズで失敗しているといえます。この場合は、おのずとその後も失敗して無価値になってしまうとのことです。

本来であれば、TVCMなどの効果が見えやすい、且つ、大型施策に一点集中したいところですが、効果が見えづらい別の施策にも力を入れる背景にはふたつの理由があるといいます。

ひとつは、TVCMは投下した金額だけその分リーチできるというメリットがある代わりに、体感的にCPIやLTVの効率が下がっているという点。

ふたつめは、いろいろなコンテンツを触ってきたユーザーにアプローチするため、表層的な部分での差別化は難しく、より深いところまでメッセージを伝える必要があり、15秒や30秒といった短時間でアプローチするTVCMではこうした取り組みが困難なため。

こうしてTVCM以外にも別の施策を取り込むことで、メディアコンテンツを通じて作風(ゲームの魅力)を理解してもらうなど、ゲームを遊んだ時の体験設計と、コンテンツの入口とのギャップが少なくなることに寄与するといいます。

「推奨」では、体験の総合設計が大事であると考えているため、ゲームの中身や宣伝などをプロデューサー・開発ディレクターなどと一緒に設計することが多いといいます。全てのデティールをマーケティング担当者で決めることは難しいものの、コンセプトベースで議論することはできるうえ、うまくハマればNon-Paidで広告費換算で数千万レベルで返ってくることもあるようです。

また、SNS上ではポジティブなワードだったり議論を含むようなキャンぺーンを実施し、より触れていない人に対して魅力的な情報がTwitter上に出るようにもしているといいます。

うまく作用した際はファン同士のコミュニティの作成にも繋ったり、新規ファンの振り向きにも寄与しますが、逆に体験設定がうまくいっていないときは逆効果・炎上につながるため、コアファンの心情などを見極めることが重要であると語りました。

 

オーガニックインストール施策の効果の測定方法とKPIについて

ここまで、さまざまな施策を伺ってきましたが、とはいえ効果をどうやって判断するべきなのか、KPIをどうすればいいのかという点が難しいのも事実。おふたりはどのように考えているのでしょうか。

窪田氏は、「次にこの施策をやるかどうかという判断材料として、ひとつひとつの施策は分解できないと考えています。そのためデータベースの流入を軸にしながら、そこでLTVを計算しています」とのこと。

また、傾斜を意識しながら「1週間だけトラッキングして試してみよう」「この時期にやったものは成功したよね」など、本当に検証したいものは時期をずらしながら、時間で切り取って見ていくしかないと言葉を添えました。

一方で加藤氏は、「認知からインストールまでにどれくらいのレートがかかるのか、CVRはどうなのかは調査をしていけば大体算出でき、前述した構成にあてはめながら、どの部分が必要なのかを設計しています」と語りました。

また、加藤氏は「WFSでは、ひとつひとつの施策のパフォーマンスもしっかりと定量化して見ている」とし、小さい施策から始めて、再現性が取れると判断してから大きな施策を動かすという構成で始めることが多いとも話してくれました。

第1部の最後には、他社の施策によるオーガニックインストールで、「これはいいな」と思わず嫉妬したものについてお話してくれました。

加藤氏は、Yostarの『ブルーアーカイブ』のリリース時の事例を挙げました。同作ではイラストレーターを中心とした二次創作などが話題と共に増加しており、それに合わせてオーガニックインストールも増えていったとのことです。

また、『フォートナイト』などを運営するEpic Gamesでは、課金した額の一部がアフィリエイト的にクリエイターの元に届く「クリエイターサポートプログラム」を採用しており、これらがユーザーとの関係値をうまく築いており、参考になったと語りました。

窪田氏は、Cygamesの『ウマ娘 プリティーダービー』の体験設計の素晴らしさを挙げ、「リリースまでを多くのファンが待ちわびていて、中には本当に出るのか?と揶揄する方もいましたが、メディアミックス展開含めて長期的に期待値調整をしながら、ローンチ直前にハイクオリティなPVを見せるという体験。発表からローンチまで長い年月でしたが、実は常に緻密に計算されていたのではと思ってしまいましたね。」と語りました。

 

アプリストア経由のインストール最大化サービス「GAME ASO」の成功事例

ここからは、第2部に移行。オーガニックインストールに関するサービス・成功事例紹介というテーマでマイネットの祭原から、アプリストア経由のインストール最大化サービス「GAME ASO」と、その成功事例が紹介されました。

ASO(アプリストア最適化)の目的は、「検索キーワードの最適化(SEO)とストアクリエイティブの最適化(LPO)」であり、それぞれの施策を通じてアプリストア経由のインストール増加を実現することです。

第1部で紹介されたスマホゲームのオーガニックインストールが増える基本構造に照らし合わせると、リーチやインプレションを伸ばす部分がSEO、評判や人気といったCVRを高める部分がLPOにあたります。

特にLPOは、全流入経路のユーザーが必ず目にすることから影響範囲が大きいため、ざるの網目をより細かくして、機会損失を無くしていくことが重要だといいます。

実績値で見ると、訪問者数が月間100,000件のタイトルでCVRを1.0Pt向上させた場合、6ヵ月間でオーガニックインストールが6,000件増えたり、広告費が月間1,000万円のタイトルでCVRを1.0Pt向上させた場合、6ヶ月間で広告インストールは18,000件増加するというように、とても数値インパクトのある施策となっています。

ただ、これまで様々なスマホゲーム会社と情報交換したが、ASOを対策している会社は1~2割しかなかったとのこと。データやノウハウ、リソースが不足していて改善に取り組めていないというケースが多いそうです。

そこでマイネットは、これまで運営してきた累計70タイトル以上のゲームのアプリストアデータや、2015年から蓄積し続けたノウハウを活用したASOサービスを提供しています。第1部で、オーガニックインストールが今まで以上に重要になってくる時代がくると述べられていましたが、これに対応できるのがGAME ASOになっています。

 

GAME ASOが実現する「CVRの最大化と再現性の高さ」

GAME ASOのゴールは前述のとおり、ストアクリエイティブと検索キーワードを最適化し、アプリストア経由のインストール増加を目指すことです。

一度にA/Bテストできるクリエイティブ本数が少ないため、効果が出ずに途中で頓挫してしまう会社が多いといいますが、GAME ASOではアプリストアデータとノウハウをしっかり活用し、精度の高い仮説と検証を繰り返すことでCVRを最大化させ、多くのタイトルでインストール1.3倍を実現してきた実績があるという。実施した企業のリピート率は80%以上とのこと。

第1部でアカツキの窪田氏が行っている施策のなかで、再現性が低いことを難点に上げているものが多かったですが、GAME ASOでは、再現性の高い成果を創出することが可能。

ストアクリエイティブ最適化の特徴は、制作とA/Bテスト実施という2つに分けられます。

制作にてゲームの世界観を活かし、ユーザーの興味を惹きつけ、プラットフォーム審査基準を考慮したストアクリエイティブを制作し、A/Bテストを実施して、定量的にストアクリエイティブの良し悪しを判断する。この流れで、全流入経路のCVRを最大化していきます。

実際の事例を見ていくと、タイトーの『ラクガキ キングダム』にて、既存クリエイティブとは全く異なるコンセプトの新規クリエイティブを3パターン作成し、Google PlayのA/Bテストを実施。結果的に、CVR+1.3Ptを実現しました。このほかにも、これまでサポートされてきた多くのタイトルで、CVR+1.0Pt、インストール1.3倍を実現しています。

 

ストア内広告×ASOの新しい活用方法「GAME ASO Ads」

ここで話題は、広告の新しい活用方法として「GAME ASO Ads」へと移ります。GAME ASO Adsとは、ASOとストア内広告でシナジーを創出し、アプリストア経由のインストール最大化を実現するというもの。

従来の広告の活用方法だと、広告でインプレッションを高めてインストールにつなげ、広告経由のユーザー獲得効率を高めていくというのが一般的ですが、GAME ASO Ads はASOとシナジーを出し、オーガニックインストールを伸ばすために広告を活用するメニューとのことのです。

Apple Search Adsのクリエイティブセットを活用しA/Bテストを行うサービスなど、シナジーに関するサービスを積極的に開発・機能強化しています。広告を広告経由のインストール増加だけで終わらせず、オーガニックインストール増加につなげるとのことです。

また、新作リリース時のASOの活用の重要性についても説きます。

広告のインプレッションボリュームが大きいほど、CVR改善時のインストール増加のインパクトが大きくなるため、事前登録とリリース時のASOがもっとも大事な時期。

そのため、事前登録期からA/Bテストを実施することで、最適なストアクリエイティブを発見し、リリース後のインストールを最大化させるという取り組みを行っています。

祭原は、「ASOをリリースプロモの当たり前にしていきたい。アプリにおけるラストワンマイルを解決するというミッションを掲げ、価値を磨いていきたい」と、サービスのさらなる品質向上に向けて展望を語り、ウェビナーを締めくくりました。

「GAME ASO」:https://aso.mynet.co.jp/

取材・執筆:寺村一也

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でフォローしよう!

イベント ピックアップ