【×Marketing】vol.10
IPタイトルを複数運用するブシロード、iOS14.5以降のマーケ戦略とASOの成果を訊く

ゲームアプリ市場における先進的なマーケティング施策を取材した企画「×Marketing(かけるマーケティング)」。“掛ける(相乗効果で可能性無限)”と“駆け抜ける(新しい挑戦/気概)”をコンセプトに、習慣化しがちなゲームアプリ市場のマーケティング施策について、最新事例はもとより、一般化につながるノウハウをマーケターたちにお聞きしていきます。

第10回は、株式会社ブシロード 広報宣伝部 デジタルマーケティングチーム リーダーの古谷明氏に同社のデジタルマーケティング戦略及び、昨今のiOS14.5以降の取り組みについてお話を伺いました。

[Topics]
■IPタイトルで外部コミュニティを活性化
■iOS14.5以降の対応策。ASOで確かな成果

 

IPタイトルで外部コミュニティを活性化


▲ブシロードのIPタイトルが多数参加した「ブシロードゲームフェス2021」

――本日はよろしくお願いします。まず古谷さんが現在ご担当されている業務について教えてください。

アプリ事業側面のお話になりますが、社内的な部分だとコンテンツ制作やコンテンツ PR を行っているコンテンツ部門、各コンテンツを横串で横断的に見ている広報宣伝部門があって、私はその後者の広報宣伝部門でデジタルマーケティングを主担当としています。業務内容は多岐にわたり、デジタルアドを展開したり、施策の企画を立ち上げたり、ときにはゲーム内外のデータ分析にも取り組んでいます。
  

――マーケティングチームのなかに“ゲーム内”のデータ分析の担当者がいらっしゃるのですか。

いえ、データアナリストのような専門家は在籍しておらず、マーケチームのほうで兼務しています。たとえば、ゲーム内の継続率が下がっている場合どこに原因があるのか、課金ユーザーの属性を探るために情報を精査するなど、データ分析を交えて開発・運営側とディスカッションしています。
  

――兼務しているのは驚きです。

部署の人数は決して多くないですが、スペシャリストというよりゼネラリストの強みはあるかもしれません。実際にブシロードでは、他社様との(企画・開発・運営の)協業プロジェクトが一般的で、ときにはプロモーションも協業先の企業が担当することもあります。そういう意味では、弊社のマーケティングチームは単純にアプリを宣伝するだけではなく、プロジェクトを横断的に捉えて成長戦略を立てたり、課題を解決したりする能力に長けています。
  

――ただマーケチームでデータ分析を兼務していることで、ゲーム内外の現況における解像度の高さは段違いだと思います。開発・運営チームの助けになるだけではなく、プロモーション施策の内容にも寄与していくのではないでしょうか。

そうですね。対象アプリのユーザー層や課題など、ゲーム内のデータ分析を通して得られる情報はさまざまです。ROAS(広告の費用対効果)も広告出稿→課金をした結果で積み上がっていくものなので、そこに理解がなければ振り返りも、次に活かせるものもありません。アプリ側(ゲーム内)の改善をセットに考えられるチームだと思います。
  

――直近の成果についてはいかがですか。

現在弊社では外部コミュニティの活性化を通じて、ユーザーのロイヤリティを高めることに取り組んでいます。たとえば、一部ゲームアプリにてDiscordの公式アカウントを立ち上げ、ユーザーが交流できるような場を設けました。

TwitterをはじめとしたSNSや攻略サイトの掲示板など、ユーザー同士で交流できる場所はさまざまありますが、該当タイトルのDiscordにはとても熱心なユーザーが集まり、会話も活発に行われています。「◯◯ステージはどう攻略している?」「昨日の(該当アプリの)アニメ観た?」など、攻略から派生作品の感想会まで話題はバラエティに富んでいますね。


『アサルトリリィ Last Bullet』の公認Discordコミュニティ

――とくにIPタイトルを複数保有する御社にとっては相性が良さそうですね。

はい。該当タイトルのIP好きが集まることもあり、会話や議論には熱心ながらも愛情を感じます。また、日本のIPではありますが海外のユーザーも参加しているなど、飛び交う言語も多種多様です。直接的にゲーム内のKPIにどう寄与したかはまだ可視化できておりませんが、参加者のARPUや継続率など主要KPIは軒並み高水準ですし、ユーザーからのポジティブな反響は多数寄せられています。
  

――「好き」の同志を包括できるDiscordの活用方法は御社の強みにもなりそうです。

Discord以外では、「ミラティブ」や「ミルダム」などのゲーム配信サービスのキャンペーン施策も成果がありました。キャンペーン参加者のアンケートをはじめ、ゲーム内のその後の行動を調査したところ、参加の有無で継続率に大きな差が出ました。

こうしたコミュニティ施策は、ロイヤルユーザーを育てていくことにもつながりますし、なによりアプリを起点としてIP(及びプロジェクト)を盛り上げられるのではないかと思っています。
  

――こうした成果の背景には、ユーザーはどこかでつながりを求めているのでしょうか。

そうかもしれません。ゲームに限らず、意外とひとつのコンテンツに対して運営側がコミュニティを作るというケースはあまり見られないと思います。SNSでつぶやくなどのオープンの場はありますが、それでもより深い話をしたり、すぐに誰かがリアクションをしてくれたりする、密なコミュニケーションの場は今求められているのかもしれません。
 

iOS14.5以降の対応策。ASOで確かな成果

――昨今のゲームアプリ市場におけるマーケティング動向についてはいかがでしょうか。やはりiOS14.5以降の変化は大きいかと。

そうですね。iOSやAndroidに限らず、プライバシー関連の規制傾向は海外から国内に入ってきて、より厳しさを増していると感じています。iOS14.5以降のIDFA取得のオプトイン化に伴い、ターゲティングや広告の最適化も難しくなってきています。
 

――iOS端末に限ってですが、iOS14.5以降のマーケティング施策・戦略でどのような対策を講じましたか。

iOS端末ユーザーの(データ)母数は少なくなりましたが、実際のユーザーが減ったわけではありません。日本におけるスマートフォンの使用率はiOS、Androidそれぞれ6:4程度であることは変わらないので、まずはiOSにおいても出稿を止めないという判断をしました。

そのほか、少なくなったデータ母数でも計算ロジックの組み合わせや、推定の効果測定を媒体ごとにミクロで行ったり、Androidのユーザーデータに基づいて比較しながら分析したりしています。もう一つは全体の広告投下量に対してアプリ KPI へのインパクトがどうだったかを ROI 的にマクロに見るといったことも行っています。

――実際に対応後はいかがですか。

数字を見る限り、これまでのデータと乖離することはないかなと思います。そういう意味では、ある程度の想定できた数字に近付けたのではないでしょうか。

もしも将来的に”まったくデータが取れなくなる”という時代が訪れたときには、今講じている対応策は活用できるかもしれませんし、今以上に精度を高める必要があります。
  

――ちなみに組織・予算的な変化はありましたか。

組織としての変化はとくにありませんでした。予算の変化は最初のほうに少しありましたが、先ほど申し上げた通り基本的に出稿の手を緩めているわけではありませんので、こちらも現状そう大きな変化はありませんね。
  

――iOS14.5以降は、オーガニック流入の重要性も再び話題となり、「ASO(アプリストア最適化)」の取り組みが見直されるようになりました。御社ではASOの取り組みをどのように捉えていますか。

実は工数を鑑みて、これまではあまり力を入れていませんでした。昨年から徐々に工数をかけて進めるようになってきたところ、IDFA取得のオプトイン化の情報(iOS14及び14.5)が出てきたこともあって、そのタイミングから本腰を入れるようになってきました。
  

――ASOの実施に際して、マイネットの「GAME ASO」を採用したようですがどのような成果がありましたか。

弊社のIPタイトルで、「GAME ASO」の機能を用いてApple Search Adsの自動運用(オペレーションAI)を行ったところ、対象アプリのインストールが78%増加、CPIは18%削減できました。また、「GAME ASO」のもうひとつの機能である、App Store A/Bテスト(クリエイティブパフォーマンス)では、CVR126%向上したほか、CPI56%を削減できたなど、Apple Search AdsとASOを組み合わせることで高い成果が残せました。

【関連ニュース】
AIを用いたApple Search Adsの運用最適化機能「オペレーションAI」を開発。Install78%の増加、CPI18%の削減を実現。

 

――「GAME ASO」の採用背景についてはいかがでしょうか。

ASOに関して、圧倒的な実績とノウハウを持ち合わせていらっしゃったのは大きな決め手となりました。また、Google Play ConsoleにはA/Bテスト機能が存在しますが、App Store Connectには現時点では実装されていなかったので、App StoreでA/Bテストを実施出来るのも大きかったです。
  

――「GAME ASO」に今後期待していることはありますか。

ストア内で生み出していただける価値は、唯一無二なのではないでしょうか。これからもASOに特化し、専門性を突き詰めて、一層価値を高めていただければと思います。「スクリーンショット3枚入れるとオススメに載りやすい」など、定性的なアドバイスもいただけるなど、ツール以外のところでも助かっています。
  

――今後を見据えたときにASOの取り組みは重要度高いでしょうか。

高いと思います。今回実施したことによって良い数字が出てきましたが、まだまだ短期的な取り組みになっているので、これらを次のフェーズに落とし込み、中長期的により成果を上げていかなければなりません。また、ストア内の流入を増やしていくためには、マーケ側はもとより、プロダクト側のほうでも出来ることはやっていく必要もあるのではないかと思います。
  

――最後に、今後のマーケティングの展望をお願いします。

マーケティングはプロジェクトを巻き込んでいくことが一番大事だと考えています。ターゲティングや広告の最適化だけでなく、オーガニック流入の獲得やコミュニティ作りなどユーザーファーストの施策にも積極的に力を入れていきます。
 

――本日はありがとうございました。

 

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