KLab、4四半期連続で増収増益を達成 新作ヒットで特定タイトルへの収益依存から脱却…海外売上高は4年間で4倍以上にも成長

【決算概要】

 KLab株式会社は2月13日に2017年12月期第4四半期及び通期の決算を発表した。2017年12月期通期(2017年1月1日~12月31日)の業績は、売上高267億7760万円(前年同期比36.6%増)、営業利益48億9112万円(前年同期比283.7%増)、経常利益48億5364万円(前年同期比484.5%増)、当期純利益31億2745万円(前年同期は8億1412万円の赤字)と大幅な増収増益となった。

 主力タイトル『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』をはじめ、新作タイトルの『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』(2017年6月13日リリース)、『うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live』(2017年8月28日リリース)の売上が好調に推移し、過去最高の売上高及び営業利益を記録。また、4四半期連続で増収増益を達成した。

(出典)2017年12月期 第4四半期 決算補足資料 p3

(出典)2017年12月期 第4四半期 決算補足資料 p5

 費用については、売上増加に伴い使用料及び支払手数料が増加。前四半期は「東京ゲームショウ 2017」出展、『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』TVCM放映など大型プロモーションを展開。反面、第4四半期は前四半期ほどの展開は行っておらず、広告宣伝費は減少した。なお、本稿では決算説明会の模様も取材。

(出典)2017年12月期 第4四半期 決算補足資料 p7

 

【事業状況】

 ここからは、同社主要ゲームタイトルの第4四半期の売上分析を掲載。

 『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』は、4周年やユーザー数全世界4000万達成などのキャンペーンにより、堅調な売上を記録。『BLEACH Brave Souls』は、2周年記念キャンペーンや、「千年血戦篇」のキャラクター配信等が奏功、特にグローバル版は昨年度に引き続き日本版を上回る売上を記録した。

 他方、株式会社バンダイナムコエンターテインメントからリリース中の『テイルズ オブ アスタリア』は、新章の追加や他人気ゲームタイトルとのコラボレーション施策、3周年記念キャンペーン等により、堅調な売上を記録。

 期初の予算計画では既存タイトルの売上合計を減収と予想していたが、結果、既存タイトルの売上合計は前期比で増収を達成した。一般的なモバイルゲームの売上推移は、リリース後の立ち上がりから減衰していくのが通常だ。同社もこのモデルに従い予算計画を立てていくのだが、今回は減衰・維持とは反して、右肩上がりの推移となった。

 決算説明会に登壇したKLab株式会社 代表取締役社長 真田哲弥氏は、明言は避けつつも要因として「運営力を高めたことが寄与した」と回答。

 新作タイトルでは、『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』日本版が累計235万人以上の事前登録者数を集め大きな話題となり、リリース直後より好調な売上を記録。特にサッカー日本代表ユニフォームを着用した選手たちの配信により売上を大きく伸ばした。2017年12月5日にはグローバル版をリリースし、原作「キャプテン翼」の認知度が高い国や地域で好調な売上に。『うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live』は、アイドルひとりひとりにフォーカスしたイベントや商材の配信により、好調な売上を記録した。

 ヒットの要因に真田氏は「クオリティ重視で開発に臨んだ」と、開発スケジュールを度外視してまでもクオリティを担保したことを挙げた。また、トピックスとしては、これまでの特定タイトルへの収益依存からも脱却。同社の売上構成比を見てみると、新作タイトルリリース前は“とある主力タイトル”が売上の半分以上を占めていた。しかし、新作タイトルリリース後には、売上がきれいに分散したのだ。既存の主力タイトル頼りだったリスクから脱却し、今回の新作ヒットは事業の地盤を固める形となった。

(出典)2017年12月期 第4四半期 決算補足資料 p17

 他方、海外の売上高に目を向けてみると、この4年間で4倍以上にも成長。前述した『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』は、香港やマカオを含む4ヵ国でApp Storeセールスランキングで首位を獲得。また、自社で展開しているWEB番組「KLab Games Station」の英語/フランス語を海外で放送し、ファンコミュニティの醸成にも貢献したという。真田氏いわく「試行錯誤してきた結果、海外展開における“勝ち方”が見えてきた」と力強いコメントを述べた。

(出典)2017年12月期 第4四半期 決算補足資料 p6

(出典)2017年12月期 第4四半期 決算補足資料 p18

 このほか、マーケティング分野においてはターゲティングと費用対効果を重視した施策を展開。目覚ましいのはメディア掲載数で、この4年間で約8倍に増加。要因として挙げられるのは、「KLabGames NEXT VISION」の開催や「東京ゲームショウ2017」等の大型イベントへの出展をはじめ、ゲーム系メディアを対象に「リリース前試遊会」の開催、LINEを用いた事前登録キャンペーンが奏功したようだ。

 

【見通し】

 同社は2018年度もレンジ形式による通期業績予想開示を採用。2018年12月期の連結業績予想(2018年1月1日~12月31日)は、売上高385億円~335億円(前年同期比43.8%増~25.1%増)、営業利益62億5000万円~37億5000万円(前年同期比27.8%増~23.3%減)、経常利益61億5000万円~36億5000万円(前年同期比26.7%増~24.8%減)、当期純利益42億円~23億5000万円(前年同期比34.3%増~24.8%減)としている。

(出典)2017年12月期 第4四半期 決算補足資料 p28

 上記、業績予想の根拠として次のような見解を示している。

 まず売上高は、今期4本~6本の新作タイトルリリースを想定しており、これらが寄与するとしている。当然、開発進捗やクオリティ状況によってはリリース計画を変更することもあり得る。つまり、レンジ幅上限は新作タイトルが好調だった場合を想定して設定、対してレンジ幅下限は新作タイトルが不振だった場合、または既存タイトルの減衰が大きい場合を想定して設定している。

 費用は、前述した新作タイトルにおける積極的なプロモーション展開や、イベント出展による広告宣伝費の増加が挙げられる。また、現在同社は人員増強フェーズに移行しており、今後は人員増加による労務費および採用関連費用の増加も見込んでいる。

 さて、ここからは事業方針の変更について言及していこう。

 これまでKLab株式会社は、経営安定の道筋として、主力のゲーム事業(内部開発及び外部開発/パブリッシング)に加え、非ゲーム事業への投資を行ってきた。しかし、今後はゲーム事業及びゲーム周辺事業に専念することを発表した。

(出典)2017年12月期 第4四半期 決算補足資料 p21

 事業方針変更の背景として、特定タイトルに収益依存せず、複数タイトルからバランスよく収益を獲得できる状態に移行し、ゲーム事業のボラティリティの高さが経営に与えるリスクが後退したことが挙げられる。今後は好調なゲーム事業に経営資源を集中し、さらなる成長を目指すと共に、ゲーム事業とシナジーが高い新規事業(ゲーム周辺事業)の投資は常に検討していくとのことだ。「リスクヘッジよりも売上成長に舵を切る」は真田氏の言葉。

 なお、非ゲーム事業では、2016年8月にKLab Food&Cultureを設立し、中国上海市中心部にある大型複合施設「上海大悦城ショッピングモール」内に、ラーメンのフードテーマパーク「ラーメンアリーナ」1号店を2016年12月にオープンした。事業方針の変更に伴い、今後はKLab Food&Culture株式の全てを、パートナー会社であるフードマーケティングアジア社に事業譲渡するという。

 経営方針は、先の通りゲーム事業のさらなる成長のために、3つのキーワードを方針に掲げ取り組むとのこと。それが「Japanese IPs」「Global Growth」「Original Creations」だ。

1. Japanese IPs
 日系IPをベースに、収益基盤の安定と成長を図る「Japanese IPs」。IPタイトルの高いヒット実績により、さらなるIP獲得を目指す。また、同社のIPタイトルは北米や中国を含む海外展開の実績も著しく、パブリッシャーとしての魅力を高めていくのも狙いだ。ほか、新規IP発掘のために、アニメ出資等を通じてIPホルダーとの関係を強化していくという。

2. Global Growth
 海外展開を行い1タイトルあたりの収益を最大化する「Global Growth」。欧米・アジアにおけるパブリッシングを強化していくとのことだが、多言語展開におけるコスト高騰を避けるため、ワンバイナリ運用等で省力化を図るという。言わば、各国の専用アプリを展開せず、ひとつのアプリに言語をゲーム内で動的に切り替える機能を採用していく。ほか、世界最大規模の市場となった中国でも配信を強化し成長を加速させる。

3. Original Creations
 自社IPでヒットタイトルを創出し、大きな成長を狙う「Original Creations」。原作開発に秀でた人材の獲得、パートナーアライアンス、社外の有力クリエイターとの連携を強化していく。また、アニメ化などのメディアミックス展開等でコアなファン層を育成、その後ゲーム化し、ゲームのヒット率を高める狙いだ。現在は自社IP『禍つヴァールハイト』、KADOKAWA社とのメディアミックスプロジェクト『Project PARALLEL(仮)』(開発・運営はオルトプラスと協業)の2タイトルが控えている。

(出典)2017年12月期 第4四半期 決算補足資料 p35

 なお、2018年度のゲームパイプラインは全部で7タイトル。


【関連リンク】

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でフォローしよう!

IR 決算情報
Tagged with: ,