YouTuberと共に考える!失敗事例から紐解くインフルエンサー施策成功の鍵【SESSION5-B】

(左からTHECOO株式会社の太田氏、Studio Coup所属YouTuberのドズル氏)

2019年4月16日、東京・新宿にて国内最大級のアプリマーケティングイベント「Next Marketing Summit 2019」が開催。

第3回目の今回は、3会場同時進行にて過去最多の14セッションを実施。スマートフォンゲームをはじめ、ニュース、マッチング、ファッションなど多様なジャンルのキーマンが熱いディスカッションを繰り広げました。

本稿ではB会場で行われた「YouTuberと共に考える!失敗事例から紐解くインフルエンサー施策成功の鍵」の様子を紹介。登壇者は、Studio Coup所属YouTuberのドズル/Dozle氏。モデレーターはTHECOO株式会社の太田修二郎氏が務めました。

【登壇者情報】
<スピーカー>
ドズル – Dozle

Studio Coup所属
YouTuber

クラッシュ・ロワイヤル界におけるトップ実況者。YouTubeチャンネル登録者数:346,140人(現在)。安定感のあるしゃべり口から多くのファンを獲得し、2016年にクラロワにおいて「最強クラン決定戦」というイベントを3度に渡り主催し、5000人以上のユーザーを熱狂の渦に巻き込むことに成功。ゲームを心より愛しており、クラクラ、クラロワにとどまらず、PS4のコアゲームやバカゲーなども実況している。2017年より視聴者がスポンサーとして活動支援する「ドズ主」プロジェクトを発足し、ファンと共に「日本一のゲーム実況者になる」ことを目指す。

<モデレーター>
太田 修二郎 – Shujiro Ota

THECOO株式会社
エンターテインメントグループ マネージャー

イベント運営、リアルのコミュニティ作りを2016年まで多数手がけた後、2017年からは現職にてゲーム / アプリ領域において多くのインフルエンサー施策を実施。その後自社で運営するゲーム実況者に特化した事務所Studio Coup の立ち上げに関わる。実況者との関わりの中で得た知見やコミュニティ運営企画の経験をインフルエンサー施策にも持ち込み、数々の企画を世に出す。2019年より主にゲーム / アプリ業界を担当する部門のマネージャーとして、インフルエンサーとの深い取り組みによる価値の創出を目指す。

 

■インフルエンサー施策を成功させるキーワード

太田:みなさん、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。今回のセッションでは、今まで行われた施策の中から“成功するための鍵”を考えていきたいと思います。これからみなさんが施策を実施していく中で参考になれば幸いです。なんだかドズルさんがワクワクしていますね。

ドズル:そうですね(笑)。いつも一人でマイクに向かって話す仕事をしているので、今回はみなさんの前で話すので新鮮な気持ちです。よろしくお願いします。

太田:今回集まっていただいたみなさんは、たとえばインフルエンサー施策に関して「ただキャスティングするだけで終わらない施策がしたい」、そして「しっかりとファンの熱量を集めて、ユーザーを動かして施策を成功させたい」という考えがあるのではないでしょうか。そこで、今日持ち帰ってほしいふたつのキーワードを用意しました。

それは、“熱量”と“共創”です。

「関わる人たちの“熱量”を上げて“共創”していく」という言い方ができます。この言葉をひとつずつ噛み砕いて説明していきたいと思います。

“熱量”は言い換えると“モチベーション”。つまり「目的を達成するための動機」ということです。これはインフルエンサー、インフルエンサーのファン、そしてサービスを提供する企業がそれぞれ違った“熱量”を持っています。

それぞれの立ち位置で抱えている“熱量”を最大化させ、同じ方向に進めていくことがひとつの鍵です。

ドズルさんはYouTuberと、AFTER FIVEという会社でふたつの顔を持っていると思いますが、それぞれ違うモチベーションを持っていますか。

ドズル:“熱量”という意味では、根源は同じですね。僕の根源は昔から負けず嫌いなところにあります。他の人に勝ちたいという情熱が僕を動かしていて、YouTuberになったきっかけも、ハマっていたゲームで世界一になり、投稿していた動画で気が付いたら有名になっていたからです。

そして、YouTuberで数字が取れるようになったときに、周りを見渡すとゲーム実況者というジャンルでYouTuberが増えてきていました。その中でも一番になりたいと思い、YouTuberとしても成長できています。その過程で、ひとりでは勝てないと気付いて、最強メンバーを集めて会社を興し、数字を伸ばそうと思い立ちました。だから自分の中の原動力は“負けず嫌い”だったのかなと思っています。

太田:ありがとうございます。そして、もうひとつのキーワードは“共創”です。

インフルエンサー施策は企業のみなさまのご協力があって初めて成り立つものだと思っています。インフルエンサーが自分だけで自由に考えたクリエイティブは、時に成功しますが、当然しないときもあります。だから、企業のみなさまの「ゲームをヒットさせたい」という思いをインフルエンサーが理解して、共に創ってファンに届けることが大きな成功の鍵となります。

申し遅れましたが、ここで改めて自己紹介をさせていただきます。私はTHECOO株式会社の太田と申します。前職ではオフラインイベントのコミュニティ運営やイベント作りを手掛けていました。その頃からドズルさんとは交流があり、5年位の付き合いになるのですけど、ドズルさんは私のことを覚えていましたか。

ドズル:いえ、正直覚えていませんでした。

太田:結構話しかけていたのですけどね(笑)。

ドズル:すみません(笑)。

太田:そんなこんなで、海外留学などを経て、2017年の現職のTHECOOに入社しました。そこではゲームアプリ領域でインフルエンサー施策を多数手掛けてきました。また、弊社には「Studio Coup」という事務所がありまして、立ち上げから関わることができました。隣にいるドズルさんもその一員として活躍されています。

2019年から、ゲームアプリ業界のマネージャーとして、インフルエンサーとの深い関わりを使って、いかに成功させるかを模索しています。

ドズル:私はYouTuberのドズルと申します。アニメのキャラクターみたいな名前ですが。Supercellさんのタイトルを中心にプレイしていて、数字は『クラッシュ・ロワイヤル』が一番伸びています。総視聴回数が2億9000万再生くらいで、国内30~50番目くらいの位置にいる、いわゆる中堅YouTuberです。YouTuberのほかにも、昨年発足したプロリーグの「クラロワリーグ」でキャスターを務めています。

また、株式会社AFTER FIVEという社員8名の小さな会社を持っています。そこでは、YouTubeチャンネルを成長させることを事業にしています。ゲーム実況者をやりつつ、YouTuberさんのコンサルティングをやっているのは、僕の規模ではほかにいらっしゃらない分野なので、みなさんお困りのことがあればご相談いただければと思います。YouTuber目線で、数字を伸ばすことに直結したサービスが提供できる会社です。


 

■インフルエンサー施策の成功事例、失敗事例

太田:ここからは、今までに実施されてきたインフルエンサー施策を振り返っていきます。みなさんの中には、すでに施策を実施している人もいれば、これからやっていこうと思っている人もいると思います。まずはその目線合わせとして考えてください。

インフルエンサー施策は4~5年前から施策が行われてきました。YouTuberという名称もまだ浸透していない頃ですが、そこでも目を付けている企業さんはいました。現在もトップにいるYouTuberさんでも当時は、単価10万円くらいで実施されていたこともあるようです。実施すれば当然のように効果が出る、という時代です。

そして、YouTubeで効果が出るということが認知されてきましたが、「YouTuberってなに?」という企業さんはまだまだいました。まずはフォロワーの多い、規模の大きい人から使われていったのが次の段階です。

そこから、規模が数10万単位の人にも話が行くようになり、徐々に浸透していきました。大・中・小規模の人たちが使われるようになって、新しい施策がひとつずつ生まれていきました。その一例が「リワード施策」と呼ばれるもので、みなさんも目にしたことがあると思います。

ただ、YouTubeというプラットフォームも現在に至るまでに変化を遂げているので、今でも同じ施策で効果を出せるわけではありません。インフルエンサーの単価も上がってきているので、どうしたら成功につながるのかは、もう少し深掘りしなくてはいけません。

そこで実際に、視聴者はどんな気持ちで動画を見ているのかを考えていきましょう。タイアップと呼ばれる企業案件が右肩上がりで増えている中で、そういった動画に触れる視聴者の態度変容がどうなっているのか、ドズルさんにYouTuber目線で聞いてみたいです。

ドズル:5年前と比べて、視聴者にも慣れが生じていると思います。いつも見ている動画とは違ったものだと「やはり案件か」みたいな感想になってしまいます。結局タイアップだと、「お仕事として紹介しているのだろうな」という底が透けてしまうので、視聴者さんも動かないし、動いたとしても継続しない。いちYouTuberとしても効果は落ちてきていると感じています。

太田:視聴者が抱いている熱量が、そこでブツッと切られてしまう。それで「どうせ案件でしょ」という風潮が生まれてしまうのだと思います。逆にYouTuber側の態度変容はありますか。

ドズル:僕はこれを「案件スイッチ」と呼んでいるのですが、そのスイッチが入ってしまうと、視聴者の気持ちを考えられなくなってしまいます。YouTuberは毎日動画をアップしている人が多いので、その1日の中で何回も修正が返ってくるとストレスに感じてしまう人が多いです。だから、修正が来ないようになるべく突っ込まれない動画をつくってしまう。

そうなると再生数も伸びないですし、インストールにもつながらないですし、視聴者を喜ばせることもできない動画になってしまいます。案件動画はかなりフォーマットされてきて、YouTuber側もやることに慣れてしまって、コストを落として作っていることに起因するのだと思います。

太田:物事を“こなしていく”という感覚になってきてしまっているのですね。そこには熱量や共創という概念がなくなっているのだと思います。

では、僕が今までに実施した過去の事例から、「やり方を間違えると失敗する施策」を紹介したいと思います。

某対戦ゲームのお話です。複数のYouTuberを起用して、それぞれに対戦動画を撮ってもらいました。そして、動画後半の締めで「動画下のリンクでDLした人の中からギフトカードをプレゼントする」という施策です。これは効果があまり得られなかった施策になりますが、ドズルさん、これはなにがいけなかったのでしょうか。

ドズル:ゲームは特に顕著なのですが、実況者に求められているものはそれぞれに違いがあります。外から見るとどのゲーム実況者も同じに見えますが、複数タイトルをアップしても見られるYouTuberと、ひとつのタイトルしか見られないYouTuberに二分されます。いつもやっているゲームタイトルでない時点で、見てもらえないことはよくあります。

もうひとつ、ギフトカードなどのプレゼント企画はどんどん過激になっていて、額が小さいと誰も反応を示さないようになってきています。先月、僕も40万円のプレゼント企画を訴求しましたが、それでもピンとこない視聴者さんが多かったです。100万、1000万レベルの動画がたくさんあるので、ギフトカードで釣るような企画は、それだけではインストールに結びつかないと思います。

太田:視聴者としては「なんとなく面白かった」とか、「ギフトカードに興味がない」とか、逆に「ギフトカードがもらえたらすぐにやめてしまう」という心理なので、施策が終われば数字が0に近くなってしまう。熱量が継続する要素がなかったので、失敗になります。

もうひとつは、某美少女ゲームです。女性系YouTuberを起用して、ゲームキャラクターのコスプレを行いながら面白さを紹介するという施策なのですが、ドズルさんから見ていかがでしょう。

ドズル:これは「案件スイッチ」が入っている一例ですね。インストールやゲームをやるというところにメインにしていない。コスプレが全面に出されていて、一見すると盛り上がっているように見えますが、ゲームの面白さやインストールを促すアクション、そこから続けるところまで動画の中で訴えかけられていません。コスプレをメインにしてしまうと、続けて遊んでくれる人は少ないのかなと思います。

太田:コスプレを見て満足してしまうので、視聴はされても、ダウンロードには直接つながらなかったというのが、この施策の失敗点になります。

こういった失敗施策が数多く実施されてしまう中で、成功するために熱量と共創がどういう相乗効果を生んでいくのかをお見せしたいと思います。

広告主・ファン・インフルエンサーの3つがあり、それぞれに抱えている熱量があって、これが一巡して作用していかなければ成功はしないと考えています。

たとえば、インフルエンサーさんが「楽しい動画が作りたい」という思いだけでつくると、企業さんが望む効果を満たせないクリエイティブになってしまいます。それは成功したとはいえません。先ほどの「案件スイッチ」が入った施策も、ファンのことが考えられていなければ成功しません。

そういった意味で、熱量をいかに同じ思いで共創していくかが重要です。

ドズル:僕から質問してもいいですか。この共創というのは、誰と誰がつくっていくものなのですか。

太田:これは、インフルエンサーと企業だと思っています。ただ、インフルエンサーはファンがどこに熱量を持っているのかを理解していることが前提です。プロモーションの成功を考えたうえで共に創り上げていくことが重要です。

ドズル:広告主側も、インフルエンサーが抱えているファンの熱量や、その背景を理解しながら共創していくということですね。

太田:そうですね。

ドズル:ありがとうございます。

太田:ここからは、実際に熱量と共創がうまく作用した成功事例を紹介したいと思います。

これは、『CARTUNE』というアプリです。簡単に説明すると、車好きの人たちのためのSNSみたいなアプリです。これが世にリリースされるタイミングで僕がプロモーションを担当しました。

この結果が生まれたのは、企業・インフルエンサー・ファンがしっかりと共創し合えたことが要因です。

みなさん、この動画を見て、ポイントに気が付きましたか。この図は視聴者の熱量がいかにしてアプリに向いたかを表しています。

視聴者の熱量としてはこの動画の投稿者であるRED Memoryさんに向いていて、「RED Memoryさんに車を見てもらいたい」と思う方が多くいました。そこで、「CARTUNE内でハッシュタグを付けて投稿すると動画内で紹介されるかも」という流れを作ったことで、自然とインストールする目的ができました。

さらに、紹介してもらえたことで投稿をし続ける、もしくはその次の動画でも紹介されるかもしれない……といったように、継続する理由もできています。視聴者の熱量をYouTuberが促すことで、最終的にアプリを自然に好きになっていく、そこで対流が起きていくというのがポイントになっています。

実際に、アプリ内ではこのプロモーションに関するハッシュタグ付きの投稿が約12万件近くあり、アプリ内で大きく対流が生まれました。

ドズル:別の企画になるのですが、中の人が動画に出てくるというのもポイントのひとつだと思います。YouTubeの視聴者層は、やはり人格がないものに対して拒絶反応がありますよね。企業、会社に対してあまり良い印象を持っていなかったり、理解していなかったりするので、中の人をだすこと、人格を持たせることは重要ですね。最近はYouTubeに限らずそういった戦略を出されている会社さんは多いです。

太田:なるほど。今まで紹介してきた成功事例は、最初に掲げた“熱量”と“共創”がうまく作用した結果、盛り上がったものだと思います。

今一度、みなさんに覚えておいて欲しいふたつのキーワード“熱量”と“共創”。ぜひ、このキーワードを持ち帰っていただければと思います。それでは、ここからグループワークに移りたいと思います。グループワークのテーマは、「視聴者の熱量のベクトルを商材に向けるために、企業ができることはなにか?」です。

【グループワークの様子】

▲B会場では、グループワークを通じた実践的な内容を展開。テーマは「視聴者の熱量のベクトルをゲームに向けるために、企業ができることはなにか?」について。短い時間ではありましたが、各テーブルで様々なディスカッションが行われました。

太田:みなさん、お疲れさまでした。以上でこのセッションを終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

 

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