【Choice!成功のトリガー/プロデューサー篇】03.株式会社アカツキ 『八月のシンデレラナイン』 山口修平

プロデューサーは経営とクリエイティブの狭間で泳ぐ存在

ゲーム業界で働くプロデューサーのキャリアに迫った企画「Choice!~成功のトリガー~ プロデューサー篇」。群雄割拠のゲームアプリ市場の中で、“ヒト・モノ・カネ”を主眼とした多岐に渡る業務を担うゲームプロデューサーですが、現在の市場、働き方、開発・運用・マーケティングについてなにを考えているのでしょうか。

本稿では、現場の責任者でもあるゲームプロデューサーの方々に、これまでのキャリアをはじめ、成功と挫折のエピソード、そこから得た知見・思想、そして今後に挑戦していきたいことなど、他メディアではなかなか語られない個人にフォーカスしてお聞きしていきます。

第3回目は、株式会社アカツキの山口修平さんにお話を伺いました。

山口さんは、オリジナルタイトルの青春体験型野球ゲームアプリ『八月のシンデレラナイン(以下、ハチナイ)』のプロデューサーとして、企画・開発・運営に関わっています。同作は、2019年7月にリリースから2周年を迎えました。良質なゲーム体験はもとより、2019年4月のTVアニメ化やライブイベントなど、クロスメディアミックス展開にも積極的で、ユーザーのエンゲージメント向上にも努め、継続的な人気を獲得しています。

一方で、山口さんはIPタイトルのプロデューサーとしてもご活躍しており、App Storeのセールスランキングで首位を記録したタイトルを複数手がけた経験を持つ、同社のヒットメーカーでもあります。

オリジナル・IPタイトル、どちらのプロデュース経験を持つ稀有な存在の山口さん。“ゲームをプロデュースする”ことに対して、どのように向き合っているのでしょうか。キャリアのはじまりから現在にいたるまで、お話を伺いました。

[Topics]
■コンセプトは「青春」。『ハチナイ』の共通事項
■円滑な組織を築き上げるプロデューサーの役割
■プロジェクトに意味を持たせて根気よく続ける

 

コンセプトは「青春」。『ハチナイ』の共通事項

――:本日はよろしくお願いします。月並みな質問からで恐縮ですが、まずは山口さんがゲーム業界に入ったきっかけから教えてください。

株式会社エニックス(後にスクウェアと合併し、スクウェア・エニックス設立)に新卒入社したのがはじまりです。エニックスでは、当時から珍しい新卒向けのプロデューサー採用を実施していました。入社後は、プロデューサーのアシスタントとしてゲーム制作におけるさまざまなノウハウを学んでいきました。
 

――:つまり、最初からプロデューサー志望だったのですね。

そういうと聞こえはいいですが、結局のところ特出した能力がなかったことから、消去法でプロデューサー採用に応募した経緯があります(笑)。

――:そうだったのですね。ちょっとさかのぼってお話を伺えればと思いますが、山口さんの幼少期はどういうお子さんでしたか?

とにかくゲーム好きな子供でしたね。『ドラクエ5(ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁)』の結婚イベントで一晩頭を抱えたり、『FF7(ファイナルファンタジーⅦ)』で懸命に育てていたとあるキャラクターが道半ばで退場し悲しみに暮れたり、『真・女神転生』では緊迫した選択肢で手に汗握ったりと、もうゲームへの思い出は尽きません。

今挙げたゲームは、僕のマイベストゲームでして、物語を通して大きく感情を揺さぶられる体験は、子供ながら衝撃を覚えました。今でもこれらの作品は創作活動の源になっています。その後はゲームを純粋に楽しむことはもちろん、徐々に制作側に興味が移り変わり、大学時代ではゲーム開発を研究するゼミに入ったりもしていました。
 

――:ゼミではどのような活動を。

チームで3Dゲーム…のようなものを開発していました。そこではプログラミングをはじめ、3DCGなど、技術的なことにも積極的に挑戦していきました……が、早々に自分に才能がないことに気付きました(苦笑)。というのも、僕が3ヵ月かかった力作のプログラムを、後から入った友達が2週間くらいで仕上げてしまったんですよ。あれは衝撃でした。3DCGも同様で、先輩との力量の差に絶望したものです……。

その後は、結局のところ企画とチームのまとめ役に落ち着いていきました。「そこそこ色々できるが、なにもできない人」の誕生の瞬間です(笑)。
 

――:いえいえ(笑)。そんな企画とチームのまとめ役が、山口さんにとってのゲーム作りの原点のひとつだと思います。

就職活動のときには「自分の武器はこれです!」と、技術的な実績やアートなどの作品を提示できるわけではなかったので、そこはかなり困りました。ただ、ゼミでは企画からチームのまとめ役として、ゲームを作り上げることを学べたのと、どんな職種とも一応会話はできる知識があったので、プロデューサーならなんとかいけるのでは、と思い、結果エニックスでキャリアを歩むこととなります。
 

――:アカツキ入社後は、著名IPタイトルや自社IP『ハチナイ』のプロデューサーを務めることとなります。そもそも一口に“プロデューサー”といっても、さまざまなタイプの方がいらっしゃると思います。まずは、『ハチナイ』の担当範囲はどういうところですか。

『ハチナイ』では、キャラクターの設定から物語、ゲームコンセプト、マーチャンダイジング、リアルイベント、アニメや小説などのメディアミックスにいたるまで、すべてを監修しています。そういう意味では、『ハチナイ』に関してはディレクション業務も多分に含まれていると思います。
 

――:『ハチナイ』をプロデュースするうえでこだわっている点などはありますか。

個人的な目標としては、

この記事は会員限定記事です。

NEXT MARKETING会員ログイン

メールアドレスとパスワードを入力してください。

会員登録(無料)すると続きをご覧いただけます。

今すぐ登録(無料)

※Active Sonarにご登録いただいている方は、メディア会員の登録は不要です。ログイン後に、記事をお読みいただけます。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でフォローしよう!